「人生100年時代」のマネープランをお手伝い 巨大金融グループ「三井住友トラスト・ホールディングス」トップが描く未来
―――会社の特徴は? 私どもは、商業銀行とちょっとタイプの違う金融機関です。個人のお客さまは、日常の入出金は私どもをあまり活用されずに、どちらかというと資産運用とか管理とか不動産といったお悩みのある時、あるいは相続のお悩みがある時にお見えになるという特徴がある金融機関です。この10年ぐらいを見ても資産運用、資産管理のお取り扱いしている残高が2倍以上に増えていますし、これからも更にその分野が大きくなっていくと考えています。
危機管理の大切さを学んだ阪神・淡路大震災での緊急対応
―――いままで取り組んだ仕事の中で一番のピンチは? 私自身が一番大変だったのは阪神・淡路大震災の時です。朝起きてテレビを見ていましたら、関西で地震が起きたことは分かったんですけども、大阪の本店や支店に電話をしてもほとんど通じない状態でした。「これは大変なことになっている」ということで、安否確認のために社員の自宅に電話をしようとなりました。地図を横に置いて地域ごとに担当を分けて、電話を東京からかけることをしたんです。 死亡者リストを見ていると「同じ名前の社員がいる」というのを見つけたケースがあって、その時は非常に残念でなりませんでした。3日が過ぎてもまだ100人以上は安否確認をできていませんでしたし、逆に電話が通じた方々の様子を聞いて、例えば自宅では危ないのでどこかに避難したいという方には、我々の社宅を案内してということもしていました。 ―――災害時はマニュアルがあったのですか? 当時、マニュアルは何もなかったですね。危機の時とか大変な時は、その場で判断できることがとても大事だということを学びました。それからは、どう対処するかを前もって考えておく癖がつきました。阪神・淡路大震災をきっかけに私自身、前もって考えておく行動の仕方になったのは、いまの私にとってはプラスに寄与していると思います。
豊かな未来のために「資金」を必要なところへ
―――人事部時代には大きな制度改革に取り組まれたとか? 当時の人事制度は年功序列で、そこからの大きな切り替えですね。反対意見も多数あったわけですけども、いろんなテーマですね、給与や賞与、福利厚生、教育研修の分野で「未来に向けてはこれの方がいいよね」ということで、共感してもらいながら進めていきました。