Bloomberg

（ブルームバーグ）： 日本銀行の植田和男総裁は23日、日本の金融緩和策の一段の正常化の適切な規模とタイミングを考え出すことが自分にとって最重要の関心事だと述べ、さらなる利上げ実施の考えを示唆した。

植田総裁は「先行きの正常化の適切な規模が全体でどうなるかや、利上げ全体を時間的にどのように配分するのかについて考えている」とした上で、「このためいつも眠れない」と語った。国際通貨基金（ＩＭＦ）・世界銀行の年次総会が開かれるワシントンでのイベントで質問に英語で答えた。

植田総裁の発言は、追加利上げの適切なタイミングを日銀が探っていることをあらためて示唆するものだ。日銀ウォッチャーの大多数は来年初めまでの追加利上げを予想している。

総裁はまた、不確実性に直面して慎重なメッセージを発信するだけでは望ましくない市場のポジションにつながる可能性があるとして、待つだけでは必ずしも適切な解決にはならないとの見解を示唆した。

「高度の不確実性がある局面では、通常は慎重かつ漸進的に進めたいと望むものだ」と指摘。「だが、ここでの問題は、非常に漸進的に進めて、金利がとても長い期間にわたって低水準にとどまるとの見通しを生じさせた場合、これが極めて大きな投機的ポジションの形成につながる恐れがあり、後々問題になりかねないという点だ」と説明した。

日銀は30、31両日に開く金融政策決定会合で無担保コール翌日物レートの誘導目標を0.25％に据え置くと広く予想されている。投資家は12月ないし来年１月の追加利上げの意向の示唆があるか注視することになりそうだ。

植田総裁は23日、現在の政策スタンスについて引き続き「極めて緩和的」だと述べた。

７月の日銀追加利上げと、フォワードガイダンスで先行きさらなる利上げを示唆したことで、多額の円資金のキャリートレードが解消され、８月初めの世界的な金融市場混乱の誘因の一つになったと受け止められている。