渋谷の路上飲酒の年間禁止、注意受けた人の驚きの反応…担当者が明かす内情「指導ができない私有地に」
住民からは「大賛成」
東京・渋谷区で1日から、夜間の路上での飲酒について、年間を通して禁止する条例が施行された。今年6月に同区の条例を一部改正して決定されており、路上飲酒による止まらない迷惑行為に区が対応した形だ。今回の措置を街の人や酒店はどう捉えているのか。本音を聞いた。 【写真】人が殺到し、身動きがとりづらい状況に…渋谷でのハロウィーン混雑の様子(2022年) これまで同区では路上飲酒によるトラブルが頻発。特にハロウィーン期間は例年人が殺到し、器物損壊、盗撮や痴漢など、迷惑行為が多発する状況となっていた。同区の概算によると、ピーク時の2019年には約4万人が渋谷を訪れており、昨年10月にはハロウィーン期間前の数日間、区への来訪を控えるよう呼びかけるなど対策を講じてきた。 さらに踏み込んだ対応として、区は今年6月、現状の路上飲酒禁止条例を一部改正し、年間を通して午後6時~翌午前5時まで、飲酒制限区域にて路上での飲酒を禁止。約3か月の周知期間を設け、10月1日から実施されることとなった。罰則規定はない。ハロウィーン期間を念頭に置いた決定ではないという。 区安全対策課の担当者によると、改正について地元の飲食業界から反対意見は出なかったといい、「売上が減るなどの実害があっても、それを言えないほど街の様子がひどかったからではないか」と推察した。また、住民からの反応は「大賛成」であったとしながら、24時間とせず時間を定めたことや、罰則がないことについて疑問の声が上がったことを明かした。 24時間の禁止にしなかった理由については「日中は飲んでいる人もいないわけではないが、そこまで多くなく被害が少ないこと、またパトロールのための人件費もかかるため費用対効果などを加味したこと」と説明する。 罰則規定を設けなかったことが議論を呼んでいる。担当者は「そもそも路上飲酒を禁止する法律がないため、条例で対応しており、そこにいきなり区が独自にペナルティーを科すことはできません。他の自治体では罰則の導入事例もありますので、今回の改正でどうなるか様子を見て、段階的に導入するかを検討していきたい」とした。