奈良2強対決で明暗をわけた「熱量の差」、奈良2強対決は智辯学園が小坂監督47歳の誕生日を祝う快勝!【24年夏・奈良大会】
<第106回全国高等学校野球選手権奈良大会:智辯学園5-2天理>23日◇準々決勝◇さとやくスタジアム 【トーナメント表】奈良大会 23日までの結果一覧 智辯学園が天理との名門対決を制して4強入り。夏連覇に一歩前進した。 智辯学園の小坂 将商監督はこの日が47歳の誕生日。スタンドに勝利の報告をした後には「ハッピーバースデー」が演奏され、「ええ歳して恥ずかしいです」と照れくさそうにしていた。 春もこの2校は準々決勝で直接対決しており、この時は天理が8対2で勝利。智辯学園は悔しさを忘れないためにその試合のスコアボードを自校のグラウンドに掲示したそうだ。 それだけにこの試合に懸ける熱量は凄まじかった。初回からアウトを取る度に一塁手の佐坂 悠登(3年)や三塁手の知花 琉綺亜主将(3年)はガッツポーズ。「自分らは挑戦者で強い相手に向かっていくだけだったので、自然とアウトが出るごとにガッツポーズが出ました」と知花は言う。 春の天理戦で登板のなかったエース左腕の田近 楓雅(3年)も熱投を見せた。天理には2番・赤埴 幸輝(2年)、4番・松本 大和(3年)、6番・大谷 汰一(3年)と左の強打者が揃う。 「左バッターに対してどれだけ内に真っすぐを投げ込めるかが今日のカギだと思っていました」と田近は天理戦に備えて左打者に内角のストレートを投げ込む練習を重ねてきた。3人にはそれぞれ1安打ずつ許したが、「しっかり投げ込めていたので、バッターのタイミングをずらせたり、詰まらせることができたので、今日は自分のピッチングができたと思います」と練習の成果を発揮。春先は134キロだった球速も140キロが出るようになり、力強さが明らかに増していた。 6回裏に足を攣り、8回にも交代するかどうかの話し合いが持たれたが、「エースとして降りるわけにはいかないと思っていたので、気持ちだけでいきました」と志願の完投。天理の強力打線を5安打2失点に抑えた。 大一番を制しても小坂監督はいたって冷静。「今日勝ったところでまだ甲子園を決まったわけではない。もう一回、気を引き締めて、準決勝、決勝と頑張りたいと思います」と勝って兜の緒を締めていた。 敗れた天理の藤原 忠理監督は「ミスから失点をしてしまったのが、守り勝つ野球の中では計算にはなかったですね」と悔やんだ。 1点を先制した直後の3回表には一死二塁から二塁手と遊撃手が交錯してフライを落球。そこから2番・國島来夢(3年)の右越え適時二塁打と3番・近藤 大輝(2年)の右犠飛で逆転を許した。 同点に追いついた直後の6回表には一死一塁からバッテリーミスで一気に三塁まで進塁を許してしまう。ここで7番・山﨑 光留(3年)にスクイズを決められ、これが決勝点になった。 やるべきことを遂行できた智辯学園とできなかった天理で明暗を分けたこの試合。長きにわたって奈良県を引っ張ってきた2強対決は灼熱のさとやくスタジアムをより一層熱くした。