「頑張っても報われない」“隠れた貧困”にあえぐ子育て世帯 今必要な支援とは
物価高が続く中、ある程度の収入があり、支援の対象ではないものの、日々の生活で苦しい思いをしている“隠れた貧困”に陥る子育て家庭が増えているといいます。 【画像で見る】物価高で「隠れた貧困」…7割以上が「塾・予備校に通えない」 子育て世帯調査 必要な支援を受けにくい、その実態を取材しました。 (社会部・厚生労働省担当 馬野恵里花)
■「子どもの食べ物が買えない」物価高が追い打ち
イベントが続く年末年始。クリスマスや新年の行事のほか、冬休みで給食がなくなるなど、子育て世帯にとっては特に出費のかさむ季節です。また、年が明けると、子どもの進学・進級のための準備や受験などでも、お金が必要になってきます。 こうした状況に追い打ちをかけるのが、長引く物価高です。子どもの貧困対策などの支援を行うNPO法人キッズドアが2024年10月~11月に行ったアンケートでは、苦しい子育て家庭のリアルな状況が浮き彫りになりました。 「物価高騰で、とにかく毎日が苦しい。食費もクレジットカードで分割にしないと支払えない」 「物価高で食料品が購入できず、子どもの健康に支障が出てきている」 「年末年始の世の中が、にぎやかになる時期は、つらい。大体のことは、お金があれば解決できることだが、現状望めない」 「制服代が高すぎて払えない」 こうした切実な声が上がる中、所得制限などで支援の対象から外れているものの、十分な生活を送るのが難しい“隠れた貧困”に陥っている家庭が増えているといいます。
■「頑張っても報われない」“隠れた貧困”家庭の声
キッズドアのアンケートでは“隠れた貧困”に苦しむ家庭の声も多く寄せられました。 「いつも所得がありすぎだとして、支援がない。母子手当(注:児童扶養手当)、(別れた夫からの)養育費も受け取れない中、それなりに生活できるように頑張っているのに、その分、損していることがある」 「収入を増やそうと頑張ると、児童扶養手当はなくなり、いろいろな支援も審査で落ちる。収入を上げると見捨てられるということなので、頑張るのが怖い」 「総所得を上げても、増税と社会保険料の増額で手取り額が増えない。児童扶養手当も減額され、一生懸命働いても報われない。ギリギリ中間層のひとり親も、生活困窮していることをわかってほしい」 頑張って働き、食事など最低限の生活はできるものの、ほかの家庭の“当たり前”を実現するのが難しい“隠れた貧困”家庭。キッズドアの渡辺由美子理事長は「頑張っているひとり親が、埋もれて苦しい思いをしている。必要な人が支援を受けられるようにしてほしい」と話しています。