2025年はAIエージェント元年!「普通の人間より賢いAI」がバーチャル同僚になる
2022~2023年に社会的ブームを巻き起こした生成AI。2024年は怒濤の進化を遂げ「人間よりも賢い生成AI」も出現しつつある。実証実験を終えて本格的に生成AI活用を進める企業も増えて、1年前とは状況ががらりと変わってしまった。生成AI関連の重要なニュースを振り返りながら、2025年がどんな年になるかを予測していこう。(ITライター 柳谷智宣) 【この記事の画像を見る】 ● 驚異的な進化を続けるOpenAI「ChatGPT」 2022年から始まった第4次AIブームは、生成AIの躍進により爆発的に広がっている。2024年もその驚異的な進化速度は衰えず、生成AIはどんどん賢くなっていった。技術の進化のみならず、社会実装や規制面でも大きな前進を遂げた一年だったといえる。 2024年5月にはChatGPTを開発・提供するOpenAIが、テキストや画像、音声などを統合的に処理できるマルチモーダル対応の「GPT-4o」をリリースし、続けて「o1」シリーズを発表。o1は年末に正式版となり、「o1 pro」も登場した。o1 proの強烈な性能は「3万円のChatGPT Pro VS 3000円のGPT-4oで20番勝負!」(前編/後編)を参照してほしい。 12月5~20日、OpenAIはホリデーシーズンに合わせて12営業日連続で新発表するという怒濤のイベント「12 days of OpenAI」(https://openai.com/12-days/)を開催、世界中の注目を集めた。 OpenAIの発表が続いた12月、Googleも相次いでニュースをぶつけてきた。高度な推論が可能なGemini 2.0を発表し、パブリックプレビュー版のGemini 2.0 Flash試験運用版をリリースしたのだ。
● 生成AI活用を本格的に全社導入する企業が増加 企業では、実証実験(PoC)レベルで止まっていた生成AIの活用を本格的に全社導入する動きが相次いだ。マーケティング資料やWebサイトの記事作成などのクリエイティブ業務に加え、コールセンターやチャットボットなどの顧客対応、ビッグデータを用いた経営分析など、多種多様な業務領域で生成AIが活躍している。こうした広範囲な導入はDX(デジタルトランスフォーメーション)に拍車をかけ、企業文化そのものを変えるきっかけともなっている。 SAPはGoogleやMeta、Microsoft、NVIDIAなど主要IT企業と連携し、大企業向けに生成AIを組み込んだビジネスソリューションを次々と打ち出した。セブンイレブンやパナソニック、三菱UFJ銀行、大林組、LINEなども生成AIを業務に活用し、大きな改善効果を挙げている。GMOインターネットグループもビジネスに生成AIを活用しており、2024年の合計業務削減時間は推定150万時間を超えたという。 ● AIを安全に活用する取り組み 急激に広まるAIを安全に活用するための取り組みも始まった。7月にEU(欧州連合)のAI法が公布・発行された。AIシステムをリスクベースで分類し、規制を設けるものだ。2023年に米国国防総省が軍事領域での生成AI運用の倫理や安全性を徹底管理するために設立したタスクフォース「Task Force Lima」は、1年間で多くの成果を達成した。180件以上の生成AIユースケースを分析し、生成AI技術が国防総省の多岐にわたる業務でどのように活用できるかを明確にしたという。 日本も「世界で最もAI研究開発がしやすい国」を目指し、イノベーション促進とリスク管理の両立を図る制度設計を進めている。石破首相は、有識者会議の報告を受け、政府としてAI政策の司令塔となる「AI戦略本部」を設置し、関連法案を早期に国会へ提出する方針を示している。この法案では、生成AIによる重大な問題が発生した場合に、国が原因究明や事業者への指導・助言を行い、必要に応じて情報提供を求める仕組みを整備することが盛り込まれる予定とのこと。 また、個人レベルでも「AIと共に生活する」という認識が一段と高まった。スマートフォンやPCに搭載されるAIアシスタントが高性能になり、文章や画像、音声といったコンテンツをユーザーが素早く生成できる環境が整いつつある。 SNSや動画プラットフォーム上でもAIを活用したクリエイティブな作品が増えて、2024年は「AIが日常にとけ込む初めての年」となったと言えるだろう。2024年1月に芥川賞に選ばれた小説『東京都同情塔』は、一部をChatGPTなどで書いていたことが話題になったが、こうした例は今後珍しくなくなっていくはずだ。