2028年ロス五輪で120年ぶりの復活「ラクロス」 北米生まれで日本の大学で独自の文化育む “サムライ・ラクロス”を世界にアピールへ
大学のキャンパスで独自の文化を育んできた“日本流ラクロス”
1985年ごろ、日本に上陸したラクロス。 慶応義塾大学を起点として、首都圏、関東、そして全国の大学に浸透していった。北米から渡ってきた新しいフィールド競技は、日本のキャンパスの中で独自の文化を育んだ。 東京六大学をはじめ、各大学では、野球・ラグビー・サッカーなど、連綿とつながる歴史と伝統がある。新参者のラクロスにはない。 野球・ラグビー・サッカーなどの部活動を参考に、本場アメリカの情報を加えて学生たちが積み上げてきた新しいキャンパス・スポーツだ。 試合終了後、チーム全員が観客席を向いて一列に並ぶ。キャプテンは地声で観客へ、応援への感謝、戦いの結果、次への課題、そして相手へのリスペクトを声の限り“自分の言葉”で語りかける。チームメイトと対戦相手をたたえて終わる素敵なエンディング。20世紀の終わりごろにやって来たフィールド競技・ラクロス。学生たちが育み、築いた日本流ラクロスの姿がそこにある。縁あって、10年ほど関東大学リーグを頻繁に観戦して感じたラクロスの美しい光景である。 戦いの背景となる試合会場も味わいのある場所が多い。木々の息遣いを感じられる駒沢。海風が心地よい蘇我。湾岸の高い空が広がる葛西。下町と昭和の風情ある青砥。東京五輪でずいぶんと整備された大井。それぞれの風景の中で、キャンパス・スポーツの勇者たちは歓喜し、涙し、素敵なエンディングを迎えていた。 1990年代にファッションの発信地だった渋谷・原宿あたりで、女子大生が流行ブランドのバッグとラクロスの棒・クロスを小脇に抱える姿が“おしゃれ!”と取り上げられた。あの棒は、女子大生の防犯にも役立つなどという冗談もあった。
大学優勝チームとクラブチーム優勝チームが全日本選手権で激突
1908年のロンドン五輪で綱引き、ポロとともに実施されてから120年。“スポーツの祭典”という華やかな舞台から離れていたラクロス。 2028年ロサンゼルス五輪ではスピード重視のレギュレーションとなる。コートも狭くなり、選手は6人、1クォーター8分で4クォーター制。さらにショットクロックが30秒、より速くゴールを目指す形となる。 これは個人的な提案だが…、2024年、アメリカテレビ界で最も権威のあるエミー賞で真田広之が指揮した「SHOGUN」が作品賞・主演男優・主演女優ほか主要18部門を制覇した。2028年ロサンゼルス五輪では、日本代表男子は戦国武将のごとく“甲冑(かっちゅう)仕様のプロテクター”で出陣してほしい。そして女子は、俊敏で凛(りん)とした忍者“くノ一スタイル”はいかがであろうか。日本の戦国時代が浸透したアメリカのみならず、世界の人に“サムライ・ラクロス”を知っていただくビッグチャンス…4年後へ妄想は膨らむ。 2025年1月18日(土)、「第34回 ラクロス全日本選手権大会 A1」で、男子は大学王者・慶応大学対vsクラブ王者・グリズリーズ、女子は早稲田大学vsNeOが、ラクロスの“天下取り”を目指して激突する。
佐藤 修