病気でぐったりの愛猫が、目を輝かせた最後の晩餐とは?…「辛い闘病や過去の記憶を塗り替えたい」飼い主の愛情に涙
この一口が明日の命に繋がると思い、泣きました
ルビーのマグロを食べて旅立ったのは、長らく住み着いていた公園で虐待を受けていたところを松尾さんに保護されたという三毛猫、あんかちゃん。 「保護して半年ほどで病気が吹き出して来て、2度の抜歯手術、甲状腺機能亢進症、腎臓病、最後は扁平上皮癌で看取りました。あんかちゃんは私にもあまり懐かず、虚空の猫でした。でも最後の時は、部屋に入って来て私の布団の近くで休んでくれて、息を引き取りました」(松尾しよりさん)
この一口が明日の命に繋がると思い、泣きました
松尾さんが子猫の時に保護した、先代猫のコタツちゃんも元野良猫。あんかちゃんと同じく扁平上皮癌を患い、口内に腫瘍ができていたため、通常の猫フードは食べられなかったそうだ。 「エナジーチュールも食べられなくなり、リキッドの栄養食をシリンジで強制給餌することになったのですが、それは私から見ても食事ではなく……。悩んだ末、私が夜食に食べていたロールケーキの生クリームや、サンドイッチのハムを欲しがっていたのを思い出し、生クリームを試しにあげたら舐めてくれました。その一口が明日へ命が繋がると思い、嬉しくて泣きました」(松尾しよりさん)
食べることは、生きること
口内の腫瘍が悪化したあんかちゃんも、コタツちゃんと同じ経緯をたどったという。 「タクシーで動物病院に通院する道すがら、昔ながらの魚屋さんを見かけていたのですが、もしかしたら……と思い、タクシーを止めてもらって、初めて魚屋さんで買い物をしました。生物を食べれない私でもおじさんが奥の冷蔵庫から出してきてくれたマグロは、キメが細かくてゼリーのようで、これはとても美味しい物なんじゃないかと思いました。 オマケの甘エビとマグロと生ホタテを買って帰って、もしあんかが食べてくれなかったら私が焼いて食べるしかない、と思っていました。ぐったりしたあんかの前にマグロと生ホタテを出すと、あんかの顔がぱっと輝いてガツガツ食べてくれた時、食べるってすごいことなんだなと思いました。この最後のご飯を思い出のお弁当にして、天国へあがってほしいと願いました」(松尾しよりさん)