パリ五輪代表入りを逃した選手たちの復調ぶりに注目 細田あいと松田瑞生、同学年の2人はベルリン・マラソンで復活【クイーンズ駅伝】
■腹筋女王の松田が「殿筋の強化」で復活 松田も復活の舞台は細田と同じベルリン・マラソンだった。2時間20分42秒の日本歴代8位。22年大阪国際女子マラソン優勝(2時間20分52秒の自己記録)以降、会心の走りができなかったためか、ベルリンを振り返る松田の声が弾んでいた。 「アメリカ合宿で故障なく1400kmを走り込むことができました。今年1月の大阪国際女子マラソン(2時間23分07秒で3位)に向けては少し量を落として質を上げましたが、今回は量だけでなく質も含めて、これまでのマラソン練習でベストスリーに入る内容でした。高橋尚子さんから何か1つ、折れない部分を持った方が良いと言われて、私はやっぱり距離がベースになる、と思いました」 パリ五輪代表入りは、今年1月の大阪の結果でなくなった。高校の後輩の前田穂南(28、天満屋)が2時間18分59秒の日本新記録で2位、代表3枠目を決めた大会である。松田はしばらくチームを離れて進退を考えた。 しかし山中美和子監督の「陸上競技が楽しいと思ってやめてほしい」という言葉が、松田の中にあった“やめたくない気持ち”を大きくした。「そこから再スタートしました」(松田)。 目標としてきたパリ五輪出場を逃し、「すべてなくなった」と思って、自分の知識や経験をゼロにした気持ちを作った。トラックレースには近年あまり出ていなかったが、6月の日本選手権に出場する選手たちと練習を一緒に行い、「こういうところも学べる」と些細な気づきが新鮮だった。忘れていた「自分の原点」も思い出したという。 マラソン練習で走る距離など、自分の武器とできる部分は突き詰めたが、まっさらな気持ちで自分を見つめ直し、ケガを避けるための新しい練習方法も見つけることができた。 「これまで(補強は)腹筋ばかりやっていましたが、腹筋の練習を減らしてお尻(殿筋)の練習を増やしました。(厚底シューズの影響で)どんどん上に弾んでフィットしない部分がありましたが、前に乗り込んでいく走りができるようになりました。今は練習の走りが良くても悪くても、毎日が楽しいと感じながら練習しています」