「鉄分不足と貧血は違う?」30代・40代の働く女性が抱える鉄分不足のリスクとは?医師が解説
女性の健康を支える上で、「鉄分」は重要な栄養素。「とくに女性はライフステージごとに鉄分の需要が大きく変化し、男性と比較して鉄分不足に陥りやすい特徴があります」と梶の木内科医院 院長総合内科専門医梶 尚志先生。ここでは、女性が抱える鉄分不足のリスクとその管理方法について詳しく解説する。 【写真】鉄分を効果的に摂取するための食事のポイント ▼梶 尚志(かじ・たかし)先生 梶の木内科医院 院長総合内科専門医、腎臓専門医、家庭医、総合内科専門医として患者を診察する中で、通常の診察では解決できない「体の不調」に栄養学的なアプローチから治療と生活指導を行う。
女性が男性よりも鉄分が必要な理由
女性は初潮を迎える10代から、月経による鉄分の喪失が始まります。その後、成長期には骨や筋肉、脳の発達のために大量の鉄分が必要となります。さらに、妊娠適齢期には胎児の成長を支えるための鉄分が必須で、出産や授乳に伴う鉄分喪失もあります。 加えて、女性の食生活はタンパク質や鉄分を含む食品が不足しがちです。美容志向が強くなる思春期以降、肉や魚の摂取を控える傾向も影響します。30代以降には、子宮筋腫に伴う過多月経が加わり、鉄分不足はさらに深刻化します。つまり、女性はライフステージを通じて『鉄分喪失との闘い』を続けなければなりません。
30代・40代の働く女性が抱える鉄分不足のリスク
働き盛りの30代・40代の女性は、家庭や仕事、育児を両立させる中で食生活が疎かになりがちです。忙しい朝にはパンやコーヒーで簡単に済ませたり、夕食では炭水化物に偏りがちな献立が多くなります。また、ダイエット志向が強く、赤身肉や魚を敬遠するケースも見られます。さらに、妊娠と出産を経験した経産婦は、鉄分喪失が特に大きい傾向にあります。これらの要因が重なることで、働く女性は鉄分不足に陥りやすいのです。
更年期における鉄分管理の重要性
更年期に入るとエストロゲンの減少により疲労感や動悸、めまいなどの症状が出現しやすくなります。この時期、鉄欠乏も加わると、症状がさらに悪化する恐れがあります。また、閉経前後には不規則な月経や過多月経が鉄分を急激に減少させる原因になります。慢性的な鉄不足は、認知機能の低下や情緒不安定、不眠症状を引き起こすこともあります。更年期の鉄分管理は、心身の健康維持において不可欠です。