「マスメディア」以上に「SNS」が社会を揺り動かした2024年…匿名の「心の声」を“信じてしまう”のはナゼか
SNSの歴史
インターネットのなかでも昨今最も重要な情報源とされているのがSNSだ。 諸説あるが、世界で最初のSNSは1997年に開設されたアメリカの「SixDegrees.com」と言われている。知人とコミュニケーションを取るための掲示板のようなツールだった。 日本ではその後「mixi」や「Facebook」が流行し、連絡が途絶えていた旧友との再会や、互いが「友達」と認め合う人同士との交流など、比較的閉鎖的な空間でそれぞれの投稿に感想を付け合う使い方が定着していった。 しかしその後、繋がりのない人同士との交流や閲覧・拡散ができる言論系SNS「Twitter(現X)」が台頭。コミュニケーションツールとしてだけではなく「情報収集・拡散の場」という新たなフィールドがSNSに定着した。 そこへ「YouTube」や「Instagram」、「TikTok」など画像・動画系SNSが現れ始めると、それらSNSの垣根を越え、大手マスメディアのネットニュースと肩を並べて、どこの誰か分からない人による真偽不明な情報がひっきりなしに拡散されるようになっていった。
炎上しやすい「Twitter」
そんな日本のSNS空間のなかでも、拡散力が飛躍的に高く利用者も多いのがTwitterだ。 ドイツの統計データ会社「Statista」によると、2024年4月時点における日本のTwitterユーザーはアメリカに次いで世界2位の6900万人。人口14億人のIT大国インドより2倍以上も多い。
もう1つ、日本のSNSユーザーには大きな特徴がある。「匿名アカウント」の多さだ。 古いデータではあるが、2014年の総務省「情報白書」では日本のTwitterの匿名利用は75.1%。「指殺人」が社会問題化した韓国でさえ31.5%と考えると、日本の匿名率の高さがうかがえる。
また、筆者の過去の研究結果を一部紹介すると、ツイートの中で「選挙」という言葉を使用したアカウントの匿名率は71.38%と、先の情報白書のデータとほぼ変わらない数値であるのに対し、ヘイトや差別用語を使用したアカウントの割合はどれも90%超となった。 一方、実名を使用している可能性で比較してみると、「選挙」と発言したアカウントはヘイトや差別用語を使用したアカウントよりもそれぞれ5倍前後高かった(実名“可能性”としたのは、日本人の氏名を名乗っていてもそれが本名かの確証がないため)。