【日本市況】株式反落、中東情勢緊迫でリスク回避-債券上昇し円軟調
為替
円相場は1ドル=143円台後半で推移。日銀による追加利上げが後ずれするとの観測が重しとなり、一時144円台前半に下落した。中東情勢の緊張を受けた原油価格の上昇は、日本の貿易赤字拡大要因として円売り材料との指摘も聞かれた。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、円の上値が重いのは日銀の植田和男総裁がハト派的な発言を繰り返すとの観測や、2日発表の米ADP雇用統計が強めになることが意識されているためではないかと述べた。
植田総裁は午後に全国証券大会であいさつし、消費者物価の基調的上昇率は徐々に高まっていくとの見方を示した上で、米経済や金融市場の動向を極めて高い緊張感を持って注視すると述べた。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、地政学リスクの高まりについて、有事のドル買いとなり、原油価格の上昇は円安要因と指摘した。
債券
債券相場は上昇。中東情勢の緊迫化によるリスク回避の流れから買いが優勢だった。日銀の早期利上げ観測が後退する中、3日の10年国債入札を無難に通過できるとの見方も強まり、午後に上げ幅を拡大した。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、中東情勢がさらに緊迫化すれば世界経済への影響も出てくるとして、「不透明感が強く、現時点では債券は売りより買いの方が優勢だ」と指摘。10年債入札については「日銀の早期利上げ観測が後退してくる中で、思ったほど慎重な入札にはならないとの見方が相場を押し上げている」と述べた。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、日銀が実施した買い入れオペの結果について「残存25年超オペが非常に強かった一方、1-3年オペは水準的に弱めで、3-5年オペは応札倍率が高かった」と分析した。
日銀:国債買い切りオペ一覧 (表)
新発国債利回り(午後3時時点)
--取材協力:田村康剛.
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Hideyuki Sano, Hidenori Yamanaka, Saburo Funabiki