本音や課題を引き出す「デキる人の聞き方」
「一歩先」を知れば、仕事の解像度と精度が上がる
目の前にいる人の状況だけではなく、「一歩先」の状況もつかんでおく必要があります。 冒頭で、営業職の質問力が使えると話しましたが、営業は目の前の顧客(人)だけを見ているわけではありません。「一歩先」の確認も並行して行なっています。 具体的には、目の前の顧客に影響を与える上司や家族などが、その代表例。 「ご上司は、どのような課題感を持っていらっしゃるのですか?」「ご家族が気にされていることは、どのようなことですか?」などの質問が相当します。 たとえば、先輩から「明日までに、このレポートを仕上げてもらっていい?」と依頼されたとしましょう。 その際、先輩の背景を知っておくことは不可欠のはず。背景には、先輩に指示を出した上司がいるのかもしれません。さらに、指示を出した上司が気にしていることがあるかもしれません。 なので、拡大質問を活用した理想の会話は、以下のようになります。 自分:「レポートの件、承知しました。特に優先すべき項目はありますか?」 先輩:「どうかな?」 自分:「ところで、どなたにレポートを提出されるのですか?」 先輩:「上司だよ」 自分:「かしこまりました。どんな要素があると良さそうでしょうか?」 先輩:「***の観点を含めてもらえるといいかもね」 自分:「承知しました。では▲▲を含めておきましょうか?」 先輩:「助かる!」 このようなやりとりがあれば、理想の成果物の解像度が上がり、結果として仕事の質は高まります。ぜひ、「一歩先」の状況を拡大質問で確認してみてください。 今回は営業職も実践する「拡大質問」の活用法を紹介しました。営業職だけでなく、あらゆる職種に適応できるスキルだと私は確信しています。 小さな気配りこそが、短時間でより良いチームワークを築くヒントにつながるはずです。 伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役 リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に15万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『できる営業は、「これ」しかやらない(PHP研究所)』『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(アスコム)』など、他多数の書籍がある。 ※無料メーリングニュース(全8回) ※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」、音声メディアVoicy「1日5分 スキルアップラジオ」もスタート。 ※伊庭の研修をオンラインで学べるUdemyの講座も好評(Udemyベストセラー入り!) ──2023年1月26日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 連載コラムをもっと読む>>
ライフハッカー・ジャパン編集部