悠木碧が体現した猫猫の“ひとりごと” 『薬屋のひとりごと』第1期に刻まれた心の機微
『薬屋のひとりごと』サブタイトルが映す壬氏×猫猫の“関係性の変化”
このように、第1期本編では数々の印象的なシーンが猫猫の新しい表情を見せてくれた。たとえば、放送当時から話題を呼んだ第4話「恫喝」では、「なんでこれが禁止されたか、わかってんのか? 毒だっつってんだろが!!」と普段は淡々と振る舞う猫猫が、この時ばかりは怒りを爆発させる。 侍女に向けられたその叱責には、人命を軽視することへの強い憤りがにじみ出ていた。いつもは無関心を装う猫猫が見せた、思いがけない一面。落ち着いた日常があってこその感情の炸裂であり、それだけに猫猫の本質が垣間見える瞬間でもあった。 ●第12話で見せた絶妙な“デレ” そして、宮廷から花街に戻った猫猫と壬氏が出会う第12話「宦官と妓女」での演技も忘れがたい。妓女のアルバイトをする猫猫に壬氏が赤い紅の付いた指を唇に触れる仕草を見せると、猫猫は一瞬だけ照れた反応を見せる(本当に一瞬だが)。この間接キスともとれるシーンでの演技について、悠木はAnime Japan2024のステージで「デレと呼んでいいのかわからないぐらいのデレ」と振り返り、絶妙な感情を表現したことを語っている。 第1話「猫猫」、第12話「宦官と妓女」、そして第24話「壬氏と猫猫」。このサブタイトルの変化だけでも、2人の距離が少しずつ近づいていく様子が見えてくる。第1期で見せた猫猫の一瞬の恥じらいは、これからどんな感情へと変わっていくのだろう。その心の機微は、きっとまた新しい「ひとりごと」となって、私たちの耳に届くはずだ。
すなくじら