マーケターが生成AIと仕事をするために、やっておきたいこと、読んでおきたい本
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生成AIを学ぶための4つのステップ
生成AIを試したことがある人のなかには、アウトプットにがっかりした経験をもつ人もいるだろう。ざっくりとした質問を入れ、納得のいく答えを出してくれるかと思いきや「なんだ、こんなものか」「たまに嘘をつくじゃないか」と幻滅した人もいるにちがいない。 しかし、今後の生成AIの進化を考えるとき、学ばないことはリスクだと感じているはず。そこで奥村さんは、次の4つのステップで理解を深めていってほしいと話した。 1. 生成AIの全体観を把握する 2. あらためて触る(YouTube等の動画で学ぶのがオススメ) 3. 最新情報をインプットする(Xなどがおすすめ) 4. AIが出すアウトプットの良し悪しを見極める「思考力」×「思想力」を鍛える 本記事でもこの流れにそってオススメ本を紹介する。
1.生成AIの全体観を把握する
■ [1冊目] 『60分でわかる! 生成AI ビジネス活用最前線』(上田雄登:著 技術評論社:刊) まずは全体像を把握するために、ビジネスの現場で生成AIがどのように使われているのかを事例で知っておこう。本書では、活用の前提として生成AIの技術背景から、活用する上での課題についても取り上げている。 ┌────────── いろいろな分野の活用例が紹介されているので、あらゆるビジネスパーソンに参考になると思います。2024年4月に発行されているので新しい情報が多いです。ただし、生成AIは数週間単位で変わるので、常に学び続けないといけない領域です(奥村さん) └────────── ■ [2冊目] 『AIナビゲーター2024年版: 生成AIの進化がもたらす次世代ビジネス』(野村総合研究所:著 東洋経済新報社:刊) 前半は生成AIの概況や歴史的背景、RAG(Retrieval-Augmented Generation)/ファインチューニングといった技術、課題と社会的影響までをまとめており、後半では製造業、金融業、小売流通業など業界別の活用事例を紹介している。 ┌────────── 生成AIが今後どう拡張していくのか、未来についてまで考察されており、読んでいてワクワクさせられます。各業界がどう変わるべきかという見立ても語られており、学びが深い一冊です(奥村さん) └────────── ■ [3冊目] 『努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術』(尾原和啓、伊藤羊一:著 幻冬舎:刊) 今回の選書にあたっては、プロンプト集のようなものは除外したと奥村さん。Howにより過ぎてはその場しのぎになってしまうからだ。そこで3冊目として、成果を出すための具体的な活用術を教えてくれる本を紹介してくれた。 ┌────────── この本は、ビジネスパーソンの素養として成果を出すためのChat GPTの活用方法を紹介しています。印象的だったのは、これまでは80点を取るために時間をかけてきたが、これからは生成AIが80点を一瞬で出してくれるということ。そしてそれがスタートラインになり、80点以上にするのが人間という話です。 タイトルの努力革命の意味は、今までは何度も繰り返し、時間をかけて技術を身に着けていましたが、これからは努力の考え方が変わるということです(奥村さん) └────────── 書籍のなかでは、成果を出すための活用として「ざっくり問うてからじっくり問う」「GPTに直接GPTの考えるプロセスを聞いてみる」「最後は人間の頭でジャンプする」といった流れが紹介されている。「壁打ち相手」として、対話しながら新しいものを一緒に作る共創ツールだと紹介されており、生成AIの活用をモチベートされる内容となっている。 なお、博報堂のストラテジックプラニング局の研修では「対話したくなる生成AIの人格設定」を推奨している。デフォルトのChatGPTを、自分が対話したくなるような設定に変更するのだ。奥村さんは「子供にもわかるような平易な言葉で対話してくれる人格」を設定しているそうだ。 ■ [4冊目] 『先読み!IT×ビジネス講座 画像生成AI』(深津貴之、水野祐、酒井麻里子:著 インプレス:刊) 画像生成AIの関連書籍としては「この本がオススメ」と奥村さん。この本を片手にぜひ実践してみてほしいという。 ┌────────── 画像生成AIは使ってみたことがないという人も多いと思います。この本は対話型でプロンプトを織り交ぜながら、画像生成AIが得意な表現、苦手な表現を学べます。著作権の問題にも触れていて、生成AIを起点とした次世代の画像の作り方を学べる1冊です(奥村さん) └────────── ただし画像生成AIについては、機械学習に使われた画像の著作権の問題など、賛否両論な部分もある。奥村さんも画像を外部に出すときには利用せず、実験的な使い方、あるいは社内用の企画書で使うくらいで、その際にも注釈を入れているという。ただし、オンライン広告では生成AIのクリエイティブが使われるシーンも増え、今後3年くらいで大きく状況は変わると考えている。 ┌────────── マーケターが自分で画像を作ったり、依頼する際の画像のたたき台を作ったりできるのは進化です。ただ、技術的な課題だけでなく、倫理的な課題もあり、AI画像に不快感をもつ人もいるので、その点についても注意する必要があります(奥村さん) └──────────