マーケターが生成AIと仕事をするために、やっておきたいこと、読んでおきたい本
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■ [6冊目] 『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』(谷川嘉浩:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊) ┌────────── └────────── ■ [7冊目] 『偏見や差別はなぜ起こる?: 心理メカニズムの解明と現象の分析』(北村英哉、唐沢穣:編 ちとせプレス:刊) 最後の7冊目は少し重めの一冊だ。生成AIの文脈で読んだわけではなかったが、生成AIを触る上で知っておくべきことだと感じたという。 生成AIの回答は学習データに依存するので、ときにステレオタイプの、ある種の偏見をもった返答をしたり、人を不快にするアウトプットを出したりするリスクがある。生成AIのアウトプットをそのまま表に出したら、炎上するケースも想定できる。それは人間も同じで、「自分は偏見がない」と思っている人でもどこかに偏見がある。 ┌────────── 現代は、明らかなレイシズムは減っていますが、自分でも気づかないうちに特定の集団に対して偏見をもっていることがあり、それに気づけないのは、大きなリスクになります。たとえば本書では「特定の集団に対しての差別は解消されており、さらに権利を訴えるのは過剰である」と考えてしまう「現代的レイシズム」と呼ばれる事象に触れられています。 まったくのノンバイアスで社会を見られる人はいないので、自分の偏見に気づける力が大切です。本書では、研究者目線で差別と偏見が生まれるメカニズムについて客観的に紐解かれています。読みやすく、気づきになる点も多くあります(奥村さん) └────────── 奥村さんは、性別・年齢・障害の有無などに限らずあらゆる生活者がブランドを心地よく使い続けられる、「ブランド・アクセシビリティ」という概念を博報堂で提唱し、昨年、レポートも執筆した()。レポートのなかでは、ブランド・アクセシビリティとは、今まで見過ごされてきた障がいのある方のお困りごとや、独自に生活に取り入れている工夫に注目して、イノベーティブな製品・サービス開発を行うことを提唱している。自分の思い込みに知覚的になることは、そういったレポートの思想にも通じるものがあるという。