<独占インタビュー>西武の山川穂高が狙う「無敵4番」と「全打席本塁打」
山川は「無敵の4番」を求めて来年の目標をこう設定した。 「143試合制ですから落合さんの52本は超えたい。.367という打率は、ちょっとやばいかもしれませんが、本当の自分のバッティングがずっとできて体力があれば不可能ではないと思っています。もっと打率も上げたいんです。打率は.250でいいからホームランだけ40本、50本打てばOKという考え方は僕にはありません。すべてを高いレベルに置きたい。それが無敵です。今年は、3割、40本、100打点が目標でした。40本しか打つつもりがなかったんです。人間は思っていることしかできません。47本、124打点は思ったより打てたんです。打率も途中までは3割に乗っていました。これをベースにすると3割、50本が来年の目標になります。そのための練習をします。相手の攻め方も変わってくるでしょう。そこで揺るがずにできるかどうかです」 そろそろ本題に入る。宮崎の南郷まで彼を追いかけた理由は、今日17日からメットライフドームで始まるソフトバンクとのCSファイナルに向けての話である。取材時点では、まだ相手が決まっていなかった。 「どっちでもいいんです。僕個人の対戦成績的には、日ハムよりもソフトバンクを打っていますけどね。ここまでくると相手を考えるよりも、自分ができることを考える方向に持っていきます。もちろん全部勝つつもりですが、僕一人で責任は取れません。僕一人で責任を取れることをやりたい。全力疾走をやる、ホームランを打つ。それが4番の仕事です。自分さえ打てればチームが悪い方向に行くことはないんです」 ソフトバンクとは、最後までしのぎを削った。 8月に敵地で3連敗。そしてホームで3連勝でをやり返してケリをつけた。山川は福岡で沈黙、所沢で生き返った。 「単純にホームとビジターの差が大きい。同じ力ならば、相手のファンに囲まれたビジターでは負けます。でも逆にホームでは朝から練習ができ、僕らが勝つようになっています」 ファイナルの舞台はメットライフドームである。 日ハムには相性の悪いピッチャーが多かったが、ソフトバンクに天敵はいない。エースの千賀は4本塁打とカモにした。 「千賀には4本塁打していて打っているように見えるかもしれませんが、ヒットは、その4本で三振も多い。やるか、やられるかの5分5分 の勝負です。ストレートが150キロで、あのフォーク。全部打つのは無理なので割り切りやすい」 初めてインタビューをした山川は、剛毅なイメージとずいぶん違った。信念と哲学、そして独自の野球理論。己の自画像を豊富な語彙と言葉で語れる「考えるアスリート」は強い。 CSファイナルから日本シリーズへ。 山川が追い求める「無敵4番へ」の道は、ここから始まるのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)