<独占インタビュー>西武の山川穂高が狙う「無敵4番」と「全打席本塁打」
昨年、まだ1、2軍をウロウロしていたとき、走者を進めようとセカンドゴロを打った山川は、ベンチに戻って、ベテランの渡辺直人に怒られた。 「おまえがそんなバッティングしてどうするんだ?」 求められているものは、それではない。 まして打てなくても誰も責任は取ってくれない。 誤解しては困る。決して個人主義ではない。そこには山川独特のロジックがある。言い訳を作らない「究極の自己責任論」の行き着く先が「全試合ホームラン」発言の真意なのだ。 しかし、今季立った647打席のうち「50打席から100打席弱くらい」」は、ホームランではなく、ヒットを狙った打席もあるとも告白した。 「チームがどうしても点を取りたい、という場面や、僕自身が体調を崩して、思ったところにバットを振れない、バットが動かない、ホームランが打てない、という日もあります。そこでは、この考え方は省いています。右へ打つとか、引き付けてファウルで粘るとかもしました」 年間を通じて体重は2、3キロを前後するが、それほど大きな上下動はない。現在は109キロ。夏場に体重が落ちて、バッティングを狂わせる選手も少なくないが、「食べたいものを食べて飲みたいものを飲む。夏場も食欲は落ちない。よけいに食べるくらい」と豪快に笑う。 それでも初めて経験する1軍での143試合の長丁場。コンディションを崩したこともあった。 「5月、8月は全然ダメでした。正直、打てない時は、“バットを置きたい”“打席に立つのが怖い”とも思いました。でも、それを乗り越えるための練習をしました。もうひとつ頑張れば、そこに答えがあるんだ、と仕事から逃げなかった。実は、体が疲れていただけで治ったから打てたのかもしれないが、その場、その場で問題を解決しないと嫌な性格なんです。9月、10月に復調できた理由は、そこでしょう」 5月に打率.221、3本塁打、8月は9本塁打を放ったが打率は.217とスランプにはまったが、26歳の4番は苦悩し葛藤し試行錯誤し……そしてV字回復した。