Wリーグ首位決戦2連勝「追われる立場というよりはまだまだ挑戦者」(富士通レッドウェーブ 内尾聡菜)
フルゲームにもつれ込む激闘を演じた昨シーズンのファイナルから7ヶ月。負けなし8連勝で首位を走るデンソーアイリス。7勝1敗の昨シーズンのチャンピオン、富士通レッドウェーブが2位で続く。11月9日、満員のスカイアリーナ座間にて昨シーズンのファイナリストによる首位決戦がはじまった。68-47、大方の予想を覆すような21点差のワンサイドゲームで富士通が圧倒し、順位が入れ替わる。BTテーブスヘッドコーチは、50点に届かせなかったディフェンスと15本差をつけたリバウンドを評価。ゲーム前のミーティングでもその2つのポイントを意識させ、「出だしから富士通らしい試合ができました」と内尾聡菜は話し、準備していたとおりのゲーム運びだった。 翌2戦目も、第3クォーターにデンソーを8点に抑えたディフェンス力で65-54、富士通が2連勝。10試合を終えた11月10日時点で9勝1敗の富士通が首位を走る。今シーズン初黒星を喫したデンソーが2位、3位のENEOSサンフラワーズも勝率が並び、どちらも8勝2敗の1ゲーム差で追いかける。レギュラーシーズン1/3を通過し、勝ち越しているのは上位3チームだけとなり、抜け出しはじめた。 アイシンウィングスとの開幕戦の翌日からケガのために戦列を離れていた内尾は、11月2日のトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦で復帰を果たす。「ディフェンスで我慢はできていたんですけど、シュートの確率が上がらなかったです」とコートに戻ったばかりの先週は調子も上がらなかった。デンソーとの首位決戦へ向け、「フィジカルも強いのでリバウンドがすべてであり、みんなもそこを意識して戦うことができました。個人的には先週から復帰したばかりなので、まずは自分ができる役割を徹底することだけを考えて試合に入りました」という内尾は本来の姿が戻ってきた。ディフェンスが成功したことで、チームの課題としていたシュート率を上げることにも成功。2連戦において41.6%(7/17本)、46.7%(7/15本)と3ポイントシュートを高確率で沈め、内尾も2試合目は11点と活躍した。 昨季のレギュラーシーズン最終戦、シャンソン化粧品シャンソンVマジックとの2試合を内尾はコンディション不良のために欠場した。2連勝と勝ち切ったが、内容的には満足していなかったテーブスヘッドコーチは、「内尾の存在の大きさをみんなが分かったと思う。プレーオフで内尾が戻って来れば、チームも変わる」と言及し、富士通にとって欠かせない存在である。今シーズン唯一敗れたENEOS戦も内尾は不在だった。「やっぱり負けるときはコートもベンチも元気がない。ディフェンスからはじまる富士通らしさを出せていなかったです。どれだけ苦しい展開、厳しい点差でも、ディフェンスでしっかり我慢して戦うことをデンソー戦ではしっかり生かすことができました」と復帰した内尾とともに、盤石な強さも戻ってきた。ベンチで過ごす時間が長かっただけに、優勝したチームの完成形と現状の差も客観的に見ることができた。