「3年間塾漬け」でも受からない子は受からないという現実、「公立中高一貫校」目指すのに欠かせない2つの条件
■「3年間塾漬け」でも、受からない子は受からない 残念なことですが、適性検査対策に2年も3年も費やした子が大量に不合格になります。その一方、公立中高一貫校の合格要素を満たす子は、短期間の対策で合格しています。 公立中高一貫校の対策のためだけに長期間通塾し、多額の対策費用をかけるのは得策ではありません。ところが、公立中高一貫校の登場で、以前にも増して中学受験に不向きな子が早期から対策塾に通う事例が増えているのです。
「不合格になっても、その経験は役に立つ」 この塾の言葉は本当でしょうか。 高校受験の現場には、小学校高学年の学習が適性検査対策に偏り過ぎていたせいで、基礎学力がおろそかになっていると思われる学力中堅層がいます。こういう子どもは本来、高校受験ルートに専念したほうが、基礎学力の充実に努められたはずです。 受検準備に時間をかければかけるほど、「不合格」という結果が幼い体に「努力が報われない体験」として強烈に刻み込まれ、自己肯定感が下がってしまいます。公立中高一貫校の受検が、全員にとって最良の学習ルートではないということをぜひ知っておいていただきたいと思います。
公立中高一貫校を受検するなら、 「試験対策に時間と費用をかけ過ぎないこと」 「前向きな撤退選択を常に持っておくこと」 この2つが絶対条件です。 適性検査対策に多大な時間と費用をかけ、公立中高一貫校に不合格だった場合の最終進学先として「適性検査型入試を実施する私立中学」という選択があります。 公立中高一貫校が増えるにつれ、不合格だった子どもに入学してもらおうと、適性検査型入試を導入する私立中学が登場しました。なかには、「都立〇〇中そっくり適性検査」と、特定の公立中高一貫校の受検生をピンポイントで狙った入試も見られます。
■適性検査型の私立中学を受けることの是非 私は、適性検査型の私立中学は検討をしなくてもよいというスタンスです。その理由は、選択肢が非常に限られてしまうからです。2024年時点で、東京で適性検査型入試を実施している私立中学のほぼ全校が、日能研偏差値30~40台です。 偏差値で学校の価値が決まるとは決して思いませんが、自由競争下の中学受験市場で、偏差値50以上の私立中学が適性検査型の入試を実施しない理由はよく考えておく必要があります。