「3年間塾漬け」でも受からない子は受からないという現実、「公立中高一貫校」目指すのに欠かせない2つの条件
都立中高一貫校の合格に必要な要素を、簡略化した図で表してみました。各都道府県の適性検査の出題傾向や要求学力水準に違いはありますが、都市部の進学校化した公立中高一貫校は、おおむね共通しているでしょう。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください 横軸は、合格に至るまでに必要な「学習総量」です。縦軸は、生まれ持って定められた成長曲線である「早熟度」です。自然な成長の速さを示すため、努力だけで変えられません。私立中学受験では、「学習総量」の負荷が極端に大きく、なおかつ、高い「早熟度」が求められます。
高校受験は、15歳まで待てば、晩熟タイプの子どもも成長が追いつくため、「早熟度」が受験に与える影響は小さくなります。難関高校を目指すと「学習総量」は多くなりますが、中学校の授業がベースなので、学習負担感は中学受験ほど大きくありません。小学校から学習をコツコツ積み重ねることによって、受験の負担感を減らすことが可能です。そういう意味で、高校受験は「努力の受験」です。 都立中高一貫校は、どちらのタイプにも当てはまりません。合格までに必要な「学習総量」は、難関高校受験や私立中学受験よりも少なくて済みます。一方で、高度な知識の運用力、思考力、記述力が試されるという点で、「早熟度」は上位私立中学受験と同等の水準が要求されます。
高倍率の都市部の公立中高一貫校を、高校受験と同じように「努力が報われる受験」のイメージで捉えていらっしゃる保護者は、このつらい事実を理解しなければなりません。高校受験のように、積み重ねた努力が点数に直接反映される試験ではないということです。 進学塾は通塾の長期化を推奨し、高額なオプション講座を提供して、たくさんの対策授業を受講することで合格の可能性が高まるように錯覚させます。しかし、公立中高一貫校の適性検査は、長期間「適性検査対策講座」を受ければ合格の可能性が高まる類いの試験ではありません。