優里が公表した「広場恐怖症」とは? 原因・なりやすい人の特徴を医師が解説
広場恐怖症の診断と治療方法
編集部: 広場恐怖症はどのように診断されますか? 伊藤先生: 広場恐怖症は、以下の5つの状況のうち2つ以上で不安感や恐怖心を強く感じるかどうかで判断をします。 ・公共交通機関の利用時 ・開放された空間での滞在 ・閉鎖された空間での滞在 ・列に並ぶ、または人ごみの中にいること ・自宅外に1人でいること 以上のうち2つ以上の状態で、6か月以上継続して不安感や恐怖心を覚える場合には、広場恐怖症である可能性が高いと判断されます。 広場恐怖症のような精神性の疾患は、治療を開始する前に時間がかかればかかるほど、治るまでの時間が長くなりがちです。ご自身はもちろんのこと、家族や友人知人に広場恐怖症と思しき症状がみられた場合には、専門医への早期の相談をおすすめします。 編集部: 治療方法を教えてください。 伊藤先生: 広場恐怖症の治療には、薬物療法あるいは精神療法を用いるケースが多いです。薬物療法では、抗うつ剤として使用される薬品が用いられます。 精神療法では、主に認知行動療法と曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)を実施するケースが多いです。認知行動療法とは、不安や恐怖を感じる状況を冷静に認識し、考え方の修正を図る方法です。 曝露反応妨害法とは、不安・恐怖を感じる状況に自身を少しずつ曝していき、不安が軽減するまで繰り返す治療法を指します。不安・恐怖を感じる状況に少しずつ慣れていくという考え方です。 編集部: 治療にはどのような薬が使われるのでしょうか? 伊藤先生: 広場恐怖症の治療で薬物療法を実施する場合に利用される薬は、主に以下のようなものです。 ・選択的セロトニン再取り込み阻害薬 ・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ・ベンゾジアゼピン系抗不安薬 いずれもうつ症状の緩和を目的として処方される、抗うつ剤です。また、不安症状やパニック症状の緩和を目的として、即効性のある抗不安薬を使用するケースもあります。 編集部: 広場恐怖症の治療期間を教えてください。 伊藤先生: 広場恐怖症の治療期間は、パニック障害に準じた治療期間が必要であると考えられています。早くても半年から1年間、長ければ2年以上治療をしないといけない場合があります。 広場恐怖症のような精神疾患は、急速に回復するような病気ではありません。 根気よく対応していく必要があります。また、症状が治まったと思っても、何らかの要因で再発してしまう事例も多いです。継続して専門医のアドバイスを守るなど、油断せず対応することが大切であるといえるでしょう。