この中華鍋がなければ横浜中華街の「味・価格」は変わっていたかも? カリスマ中華鍋・山田工業所の工場を訪ねて分かった人気の秘密
■中華鍋の正しい使い方と「大小どちらが良いか」の素朴な疑問
山田工業所の中華鍋の特長がよくわかったところで、次に正しい中華鍋の使い方も聞きました。 「中華鍋を強火にかけて、鍋から湯気が出たら温まった証拠です。そこから油を敷き食材を炒めると良いでしょう。調理し終えた後は、洗剤を使わず、ササラ(竹製の中華鍋専用の掃除道具)で丁寧に水で流してください。その後、きれいになった中華鍋を再び火をかけて水気を飛ばし保管しておくと良いでしょう」(2代目・豊明さん) また、素朴な疑問もあります。それは「中華鍋は小さいものが良いか・大きいものが良いか」というもの。例えばお椀一杯分のご飯を炒めて炒飯を作るとした場合、大きい中華鍋よりも小さい中華鍋は火の通りが早く良いような気もしますが、どうなのでしょうか。 「いや、それは大きい中華鍋のほうが良いですよ。うちの中華鍋は一般サイズが直径27cmなのですが、できれば直径30cmのもののほうが良いです。小さい中華鍋は確かにすぐに火は入るのですが、具材を入れた際に中華鍋が冷めるのも早いんです。だからベチャベチャになったりするんですね。それよりも大きい中華鍋をしっかり温めて、少ない具材を炒めるほうが良い。だから、家庭で中華鍋を購入される場合は、できれば想定されているよりもワンサイズ大きめのほうが良いですよ」(2代目・豊明さん)
■長年使い続けた中華鍋に起こりがちなこびりつき
実は筆者も10年ほど山田工業所の中華鍋を複数使っています。そのうち、メインにしている中華鍋は、長年の料理のせいでフチの周りに油などが膠着しガチガチに固まっています。これは良いのか悪いのか…この点については3代目・憲治さんに聞きました。 「使いすぎですね(笑)。こうなると火が当たっている底面とこびりついたフチの周りで温度が圴一にならないんじゃないかと思います。でも、中華料理店のコックさんの中には、こういうこびりつきをあえて作り、調理の工夫をしている人もいます。だから一概にはこういうこびりつきが絶対ダメだとは言えませんが、プロのコックさんでなければ、やはりこういうこびりつきがないほうが調理はしやすいはずです。なので、普段から念入りに洗っていただくほうが良いと思います」(3代目・憲治さん)