『光る君へ』太閤・藤原道長(柄本佑)の最期に視聴者最注目 最終話画面注視データを分析
「生きることは…もうよい…」
テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、15日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の最終話「物語の先に」の視聴者分析をまとめた。 【写真】まひろに深く頭を下げる倫子
■物語への興味を、生に執着するきっかけに 最も注目されたのは20時43~45分で、注目度87.9%。太閤・藤原道長(柄本佑)の最期のシーンだ。 道長は死の床にあった。まひろ(吉高由里子)は以前、道長から褒美として賜った扇を手に、道長に新たな物語を読み聞かせようとその枕元にいた。「昔あるところに、三郎という男子がおりました」物語の主人公は幼い頃の道長のようだ。道長の目が大きく開いた。「兄が2人おりましたが、貧しい暮らしに耐えられず、2人とも家を飛び出してしまいました。父はすでに死んでおり、母1人子1人で暮らしていました」続きが気になるのか道長の目に少しの生気が戻る。「続きはまた明日」そこでまひろは語りをやめた。道長の物語への興味を、生に執着するきっかけとしたいからだ。道長はかすかにうなずいた。 次の日の夜。「三郎はこれまでに味わったことのない喜びを感じていました。散楽の者たちは都を出ていくことに決めました」道長は目を閉じて静かに聞いている。直秀(毎熊克哉)のことを思い出しているのだろうか。「続きはまた明日」道長はうなずいた。そしてまた次の日の夜。「雪か…」道長がつぶやく。あまりにも弱々しい声は、もはや別人のようだ。「お寒うございますか?」「生きることは…もうよい…」道長の言葉からは気力というものがまるで感じられなかった。まひろの頬に涙がながれた。道長はみずからの死期を悟っている。 まひろは涙と悲しみをこらえて、再び語り始める。「川のほとりで出会った娘は名を名乗らずに去って行きました」道長の興味を少しでも引かなければ。「三郎がそっと手を差し出すとなんと、その鳥が手のひらに乗ってきたのです」道長の顔を見ると、その目は閉じられていた。いつの間にか眠ってしまったようだ。「続きはまた明日」まひろは顔を近づけると道長の目がわずかに開いた。まひろは道長との永遠の別れがもうすぐそこまで近づいていると悟った。 さらに夜も更けたころ、月と雪が闇を照らす中、道長の嫡妻・源倫子(黒木華)が道長の寝室に入った。部屋には道長のほかに誰もいない。倫子は道長の左手が布団の外に出ていることに気づいた。その手は、小鳥が羽休めできるよう、甲を上に向けかたち作られている。倫子はその手を握ると、息をのんだ。まぶたを閉じた道長を見つめながら、両手でそっと布団に戻す。「殿…」道長はすでにこと切れていたのだ。朝方、まひろは自邸で筆をとっていたが、ふいに道長の声が聞こえた。「まひろ」まひろを呼ぶその声は、若かりしころの生気に満ちあふれた道長の声だった。まひろはその瞬間、道長がこの世から旅立っていったことを知った。