ああ、純度100%混じりっけなしの「門脇 麦」に終始、翻弄されまくった心地良さ!
「15分喋るだけで脳みそが疲れていました」(門脇)
樋口 門脇さんは、もともとバレエをやられていたそうですね。バレエを長らくやって、ちょっと違うなって思って俳優業を目指したという話をいろんなところで読んだのですが、具体的にどの作品を見て俳優をやりたいと思われたんですか? 門脇 初めて観た映画作品は『ローマの休日』でした。 樋口 何歳の頃ですか? 門脇 4~5歳くらいだったと思います。その時から興味のようなものはあったと思いますが、当時はバレエをやっていたし、深くは考えていませんでした。それから中学生の時に、当時ハタチくらいだった宮﨑あおいさんや蒼井優さんの中学生の頃の作品を見て、今の私の年齢でもすぐに働けるんだって衝撃を受けたんです。演技がしたいというより、働けるっていうのが大きかったですね。 樋口 なるほど。何を見たんですか? 門脇 『害虫』、『花とアリス』とかですね。
樋口 門脇さんの作品を観てお話を伺っていると、厳しいバレエをストイックにやってきて、ある種抑圧的だった人生から、今は作品の中で自己解放をされているのかなと感じました。 門脇 う~ん。もしかしたら初期はそうだったのかもしれないです。俳優を始めた頃は、脳内で考えている言葉と、言葉にしづらい感情を一致させて喋ることがすごく苦手で、普段から気持ちを言葉にして伝えることがほとんどなかったんです。 友達と話す時も、私が発したひと言に対して、嫌な思いした? 楽しんでる? うれしいの? とか、色々考えてしまって。だから15分喋るだけで脳みそが疲れていました。でもセリフは人が書いた言葉をそのまま話せばコミュニケーションができるからすごく楽、というかうれしくて。正直でいられたんだと思います。 樋口 脚本家が書いたセリフを言うときは、素直になれた? 門脇 例えるなら、自分で作詞作曲した曲を人前で歌うのは恥ずかしいけれど、カラオケで歌うのは他人の曲だから平気って感覚に近いと思います。 樋口 すごくわかりやすいです。