全国教育委員会のフィルタリング導入率が約98%に上昇--デジタルアーツ調査
デジタルアーツは、政府の「GIGAスクール構想」における1人1台端末における有償フィルタリング導入状況について調査した結果を発表した。 それによると、フィルタリングを導入済みの教育委員会は97.9%だった。この中で有償フィルタリングを導入しているのは79.7%に上り、前年から5ポイント増加した。一方で、無償フィルタリングを導入しているのは18.2%だった。フィルタリング未導入の教育委員会は2.1%。生徒数3000人以上の教育委員会における有償フィルタリング導入率は86.0%で前年比で約4ポイント増加した。 この調査は、デジタルアーツが9月に実施した1741の教育委員会(市区町村教委)へのヒアリング結果をベースにしている。このうち生徒数が3000人を超える教育委員会は651となっている。 全体的にフィルタリング導入が増加した要因について同社は、ネットいじめやネットトラブル、セキュリティ全般への意識向上を挙げている。また、GIGAスクール構想のガイドラインでフィルタリングの導入が明記され、GIGAスクール構想の第2期端末更新が開始されたことも要因になっているという。フィルタリングソフトの導入は、端末更新時に行われることが多く、2024年度に更新のタイミングとなった教育委員会が無償または有償のフィルタリングを導入した可能性が高いと推測している。 無償フィルタリングより有償フィルタリングが多く増加された理由では、安全性の高さや機能が充実した有償フィルタリングへのニーズが高まったからだという。同社によると、無償フィルタリングの課題は、アダルトコンテンツ以外の有害情報をブロックするには管理者が手作業で登録する必要があり、運用負担が大きい。一方で、有償フィルタリングの課題は、DNSフィルタリングを行う場合にウェブページ単位での柔軟な閲覧設定が難しく、いずれもネットいじめや長時間利用対策としての機能が不十分だと指摘する。 同社の有償フィルタリング製品「i-FILTER」は、有償フィルタリングを導入している教育委員会のシェアが53%だという。i-FILTERは、ネットいじめ対策機能やきめ細かい設定が可能と説明する。例えば、「i-FILTER Cloud」のGIGAスクール版に搭載する「見守りフィルター」でネットいじめにつながる書き込みや自殺など危険な単語の検索をブロックし、管理者にメールでアラート通知を行う。 今回の調査結果から今後はGIGAスクール構想第2期の本格化により、有償フィルタリング導入がさらに促進される見込みだという。