漬物は腸活に良い?その理由と腸活におすすめの漬物の食べ方|管理栄養士が解説
全身の健康に大きな影響を与える腸。その腸を健康に保つための腸活が注目されています。本記事では、腸活に良いといわれる漬物の効果について解説します。おすすめの漬物も紹介しますので参考にしてみてください。 〈関連動画〉【翌朝のお通じスッキリ!】仰向けで体を左右にねじるだけ「腸活ヨガ」(やり方) ■腸活とは 腸活とは、腸内環境を整える活動のことです。多くは、毎日の食事や運動習慣、生活習慣を見直して腸の状態を整えることで、全身の健康状態を良くすることを目的として行われます。 ■■腸の働き 腸には「食べ物を消化、吸収する」「水分を吸収して便を作り、排泄する」「外敵から体を守る」という働きがあります。これらの働きが円滑に行われるためには、腸の状態が健康であることが必要不可欠で、そのために腸活が役立ちます。 ■■腸内環境を整えるということ 腸の健康状態は、腸に存在する細菌の状態によって決まります。腸には、約1,000種類、100兆個の細菌が存在します。細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類され、善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7の割合で存在することが理想的といわれています。 存在する細菌の種類やパターンは個人個人で異なりますが、善玉菌優位で理想的なバランスを保つことが、腸内環境を整えることになります。 ■漬物が腸活に良い理由 腸内環境を良好に保つには、善玉菌優位の状態にすることが重要です。善玉菌は、腸内で発酵活動を行い、腸を弱酸性に保っています。つまり、善玉菌を増やすことが腸内環境の改善に役立つのです。 漬物には、善玉菌の代表ともいえる乳酸菌が豊富に含まれており、漬物を食べることで体内に善玉菌を取り込むことになります。特に、漬物に含まれる乳酸菌は植物性乳酸菌で、生きたまま腸に届きます。生きた乳酸菌が腸に届くことで、腸内が酸性に傾き、悪玉菌を減らすことにも繋がります。 ■腸活におすすめの漬物 腸活に良い漬物ですが、漬物にもたくさんの種類があります。その中でも特に腸活におすすめの漬物を紹介します。 ■■ぬか漬け 米ぬかに水や塩を加え、乳酸発酵させて作ったぬか床の中に、野菜などを漬け込んで作る漬物です。乳酸菌が含まれており、腸活におすすめの漬物です。 ■■キムチ 塩漬けした大根や白菜などに唐辛子、にんにく、ニラなどの香辛料を多量に加えて発酵、熟成させた韓国の伝統的な漬物です。発酵が進むにつれて酸味が強くなるのは、乳酸菌が増えていくためです。よく熟成されたキムチを選ぶと、より腸活に効果があります。 ■■しば漬け 赤しそとナス、塩で作られ、乳酸発酵によってできた漬物です。微生物の発酵によって作られるため、味や品質を一定に保つのが難しく、最近では調味液につけて酸味のある味付けをしただけの「調味しば漬け」が主流になっています。腸活には、伝統的な製法で作られたしば漬けを選びましょう。 ■■すぐき漬け 京都の伝統野菜「すぐき」を塩と米こうじを使って発酵させた漬物です。すぐきは発酵によって酸味が増すため、独特の風味と食感があります。すぐき漬けには乳酸菌の一種「ラブレ菌」が含まれており、腸内環境を整えることに加え、免疫力の向上、抗ウイルス作用なども期待できます。 ■腸活に不向きな漬物 最近は、調味液に数分漬けるだけですぐに食べられるような「浅漬け」も漬物として扱われています。しかし、そのような漬物は発酵食品ではありません。そのため、腸活の効果はありませんので注意しましょう。 ■おすすめの食べ方 腸活に良い漬物ですが、食べ方を間違えると効果も少なくなってしまいます。ここでは、腸活におすすめの食べ方を紹介します。 ■■少量を毎日食べる 漬物は、善玉菌を効果的に取り入れることができる食品ですが、大量に食べたら良いというわけではありません。漬物には多くの塩分も含まれています。そのため、大量に食べることで塩分摂取量が多くなります。 漬物を食べる際には、少量を毎日継続して摂るようにしましょう。 ■■生で食べる 漬物は、炒め物に加えたり、タレの具として使うなどさまざまなレシピにも活用されています。漬物そのままでは食べにくい方でも、料理に加えることで食べやすくする工夫がされています。 しかし、乳酸菌は熱に弱いため、加熱調理を加えることで発酵食品としての働きを失ってしまいます。腸活のために漬物を食べる際には、生で食べるようにしましょう。 ■まとめ 漬物は、腸内環境を良好に保つために必要な、善玉菌を豊富に含む食べ物です。腸活におすすめの漬物を食生活に取り入れ、健康維持に役立てましょう。 参考: 農林水産省「こどもそうだん/野菜をぬか漬けにするとどんないいことがありますか」 京都なり田 「すぐきについてのお話」 ライター/古山有紀(管理栄養士)
古山有紀