“下克上”を狙うソフトBの工藤監督が元西武監督にかけた1本の電話
ソフトバンクの“下克上”が始まった。11.5差を大逆転されて日ハムに優勝を奪われたが、残った日本一V3 を目指してクライマックスシリーズのファーストステージを“不敗伝説”を持っていたロッテを倒して連勝。いよいよ明日12日から、札幌ドームで行われるファイナルステージ進出を果たした。 工藤監督は、「3連覇は逃しましたが、選手は1年間、がんばってくれました。勝つんだ、負けないんだという強い気持ちを持って、ホークスらしい、明るく、元気で、全員が熱男になって戦うことだけを考えていました。柳田君、今宮君も、まだ万全じゃないんですが、うちのベストメンバーが揃ったことで相手にもプレッシャーはかかったと思います。日ハムに、ぜひ勝って、日本シリーズに進みたいと思います」と、ヤフオクドームを埋めつくしたファンに決意表明をした。 実は、日ハムの猛追を受けて、ヤフオクドームでの最後の直接対決に連敗して、逆マジックが点灯、がけっぷちに追い込まれたとき、工藤監督は西武時代の“恩師”広岡達朗氏に1本の電話をかけている。 広岡氏は、工藤監督の1982年の入団時と同時に西武の監督に就任した。その年、いきなりリーグ制覇、日本一となって連覇を果たし西武黄金期がスタートするわけだが、「野球の基本を徹底して教えこまれた。僕のプロ野球の原点は広岡さんの野球にある」と、工藤監督が折りに触れ、公言してはばからない監督として手本としている人物である。王者らしくないチグハグな采配などを批判されていた工藤監督には、広岡氏に頼りたいほどの迷いがあったのかもしれない。 広岡氏が言う。 「彼も、まだ監督2年目、指導者としての経験は少ないのだから、色々と苦悩はあるのだろう。ヘッドコーチも置いていない。指揮官とは孤独なものだが、電話をもらったとき四苦八苦している様子が見てとれた。私は『チームに力はあるんだ。基本を見直し、戦える形を見直しなさい』いう話をした。主力に次々と怪我人が出て、それをカバーする若手が育っていないなどの問題をソフトバンクは露呈したが、『力のあるソフトバンクが勝たなければならない、私は、クライマックスシリーズには反対だが、勝って日本シリーズに出なさい、そして広島と、本当の日本一を決める勝負をしなさい!』とハッパをかけた」