稲盛氏が「コピー代は2円」と答えた秘書を叱った訳 伝えたかった「労務コスト」と「経営者の視点」
JAL再建はその成功例でもあるので、稲盛さんがJAL会長に着任し、最初に幹部の方々に伝えた10のキーワードを紹介したいと思います。 最初に、稲盛さんは「本当のリーダーとして成長し、再建の先頭に立ってほしい」「自分が立派なリーダーとなり、日本航空を再建させてみせる」という“気概”を持ってほしいと伝えました。 そして、そこで必要なのが“反省”です。稲盛さんは「これまでの日本航空の何が悪かったのか、また自分自身の何が悪かったのか、真摯に反省することだ」とまず伝えました。
その際に大切になるのが、“謙虚さ”です。 プライドの高い人は、悪いのは旧経営陣だ、経済環境のせいだと責任を自分以外に求めたがりますが、そのような姿勢では再生は不可能だというのです。 ですから、「まずは皆さんが謙虚に反省し、自らの非を認めることから再生へのスタートは始まる」と伝えたのです。こうして真摯に謙虚に反省すれば、次に何をすべきかがわかってくる。それは何か。稲盛さんはこう言いました。 「おそらく、皆さんは『こうすればいい』とわかっていたのに、自分の評価を気にし、上司に気に入られたい、部下に嫌われたくない、失敗したらどうしようと、悩み、結局実行できなかったのではないか」と指摘したあと、「今回は最後のチャンスなので、“勇気”を持ってやるべきことを必ず実践してほしい」と熱く訴えたのです。
そして、そのときには“素直さ”が必要だとも教えています。 「他者から素直に学ぶことができる人だけが成長できる」のだから、自分の至らなさを認め、お客様や部下の声を真摯に聞く素直さが大切になるというのです。 そのうえで“努力”をする。「皆さんリーダーが先頭に立ち、誰にも負けないような努力をしなくてはなりません。部下が見てあそこまで上司が必死にやっているなら、自分も頑張ろうと自然に思えるくらいに努力する必要がある」というのです。