60代以降も雇われたままで良いのか? 老後の不安を解消する「働き方の選択肢」
日本では今や65~69歳の2人に1人が働いている。70歳まで働く、さらには一生働くのが当たり前になりつつあるのだ。それだけ長く働くのだから、定年後には「雇われない働き方」を選ぶのはどうだろう? 【図表】失敗の確率を大きく減らす「定年ひとり起業5原則」 実は、会社員の定年後の悩みの多くが「起業」によって解決できるという。今こそ知っておきたい「定年起業の極意」を伺った。(取材・構成:石澤寧) ※本稿は、『THE21』2024年9月号掲載[好きなことで働き続ける「定年ひとり起業」のススメ]より、内容を一部抜粋・編集したものです。
失敗しない最大のコツは 「好きなこと」でやること
定年後には、雇われて働くのではなく、自分ひとりでビジネスを立ち上げる──。この「定年ひとり起業」を私自身が実践し、その経験とノウハウを本や研修、講演などで伝えてきました。おかげさまで多くの反響があり、実際に定年起業する人たちも続々と現れています。 「定年ひとり起業」の何が良いのか? それは「お金」「孤独」「健康」という「老後の3大不安」を一気に解決できるからです。実は、これらの不安は「長く働くこと」で解決できます。 年金に加えて収入があれば「お金の不安」は和らぎ、仕事の人間関係があれば、「孤独の不安」に陥ることもないでしょう。また、仕事で規則正しく適度な緊張感のある毎日を過ごせば、「健康の不安」解消にも効果があります。起業すれば「生涯現役」も可能です。まさに「人生100年時代」にふさわしい働き方なのです。 この「定年ひとり起業」を始めるに当たって、ぜひ守りたいのが、上に挙げた「定年ひとり起業5原則」です。これらの条件を満たせば、起業のリスクはかなり抑えられ、失敗の確率を大きく減らすことができます。 特に大切なのは、原則⑤の「好きなことを仕事にする」です。起業では、軌道に乗るまで2年程度かかるのは珍しくないのですが、興味のない仕事では耐えられなくなります。その点、好きなことならすぐに芽が出なくても続けられますし、そうするうちに3年目くらいで不思議と結果が出始めることが多いのです。 私自身も、昔から好きだったビジネス書をテーマにブログを始めましたが、読まれるようになったのは3年目からでした。そこから次第に閲覧数が伸び、出版や研修にもつながり、今や私の事業に欠かせないツールになっています。 もう一つ、「定年ひとり起業」の開始前に意識したいのが「トリプルキャリア」の考え方です。「ファーストキャリア」は会社員として雇われる働き方、「セカンドキャリア」は個人事業主などの雇われない働き方、そして「サードキャリア」とは、ライフワークを行なう理想の働き方を指します。3つの期間で働き方を変化させながら、楽しく長く働くための考え方です。 ここで大切なのは、「サードキャリアを先に決めておく」ということです。先ほどの「原則⑤」の「好きなことを仕事にする」をさらに進めて、人生の最後まで携わりたいライフワークを前もってイメージしておくのです。そこから逆算して、セカンドキャリアとファーストキャリアでの準備を考えれば、「好きなことを仕事にする」という原則からぶれることがありません。 「好きなこともやりたいことも思い浮かばない」という人は、「人生とキャリアの棚卸し」をお勧めします。あなたがこれまで、最もお金や時間を使ってきたものは何でしょう? それはきっとあなたの「好き」と関係があるはずです。 「パチンコと競馬」という答えでも構いません。その2つが好きな人はたくさんいますから、同好の士に向けた事業を、マニアならではの視点で考えることができるはずです。そうして自分の中にヒントを探すことが、あなたらしい定年起業のスタートになります。