極みのささみフライにフードライターもにんまり。高田馬場のとんかつの名店跡地に注目のフライ専門店が誕生
今度は、野菜と魚介のフライが次々に揚げられていく。旬の松茸もいいが、圧巻はさつまいも。やはり低温で丸ごと一本をじっくり素揚げすることなんと30分! ほっくりと揚がったさつまいもは、シンプルに旨い。その他、野菜は旬のものを使うためその時々で変わるそう。
魚介も然りで、今回は、穴子と海老フライだったが、これからの季節、牡蠣なども登場する予定とか。今から楽しみだ。ちなみに肉厚の穴子は、外はサクサク、中はふんわりの絶妙の揚げ加減。後を引くおいしさだ。
と、ここで、ふと気がついた。肉と魚介では、どうもパン粉が違っているようなのだ。聞けば、パン粉は全国でも珍しいパン粉専門の製造工場「中屋パン粉工場」に特注だそうで「豚と鶏は、少し粗めに、魚介はやや細かなパン粉にしてもらっています」と西山さん。しかも、素材に合わせて糖度も変えるほどのこだわりよう。それも、斎藤シェフによれば「野菜や魚介はカラッと軽やかに、鶏や豚などの肉類は、少し甘みを持たせてサクサクとした食感にしたいからパン粉の糖度を少し上げています」とのこと。
それゆえ、揚げ油もパン粉の糖度との相性を考え、魚介類は太白胡麻油、肉の方は白絞油とラードのブレンドと使い分けているそうだ。見た目は普通のフライでも、見えない部分でのこうした細やかな配慮が、最後まで飽きることなく揚げ物を食べ続けられるゆえんなのだろう。
フライの大トリは王道のロースカツ。だが、これも2週間以上熟成させ、旨みを凝縮させてから使っている。最後に「豚肩ロースのしゃぶしゃぶ仕立て」で口をさっぱりさせた後、〆の食事は、フライカレーか冷麺の二者一択。斎藤シェフ十八番のカレーは「日本に初めて伝わったカレー粉『C&B』を使った昔のホテルカレーのアレンジ」で、これをベースにだしで伸ばすセンスは、いかにも斎藤シェフらしい。また、すだちの香りも爽やかな「冷麺」は、鰹だしに素麺と和食の装いだが、ここに鰹節と煮干しで作った鰹オイルをプラス。和風ラーメンのような不思議な味わいは、クセになりそうだ。