極みのささみフライにフードライターもにんまり。高田馬場のとんかつの名店跡地に注目のフライ専門店が誕生
何が極みかといえば、その厚みと揚げ加減。厚さ2cmはあろうかという肉厚のささみは、中心部に火が入っているかいないかのギリギリの揚がり具合。ともすればパサつきやすい部位だが、思わず目を見張るやわらかさ。しっとりとした食感に思わず頬が緩む。
真空調理をしてから揚げるなど何か下ごしらえに秘密が……?と尋ねたものの、答えはNO。生をそのまま揚げているだけとのことだが、味の秘訣は油の温度にあった。西山さんによれば「低温の油で揚げ、休ませるのがやわらかさのコツ」とのこと。聞けば、なんと油の温度は140℃! 通常、ベストと言われているのは170~180℃の中温というから、かなりの低温で揚げていることがお分かりだろう。そして、揚げ時間と同じだけ休ませることもポイントの一つ。余熱で火を入れればこそのギリギリのレア感なのだ。
続いて登場したのは、とんかつ2種。一口サイズの「ヒレ」と「シキンボ」が順番に運ばれてきた。このシキンボ、牛肉ではおなじみになりつつあるが、豚のそれはまだまだ珍しい。それというのも、豚は牛に比べて個体が小さく、各部位を更に細かく分割するにはそれ相応の技術と経験が必要とされるからだ。
ふわっとエアリーなヒレに対し、シキンボはよく動く部位ゆえ、嚙みごたえがあり、旨みも濃い。通好みの部位と言えよう。そのまま食べても充分旨いが、お店手作りの特製ソースをつけるとまた趣が変わる。
この特製ソースがなかなかの優れもので、フライの他、先のスティック野菜にもピッタリ。白胡麻ペーストにマスタード、そしてウスターソース少々が入っているそうで、こうした脇役へのこだわりぶりも斎藤シェフらしい。
さて、次のアジフライがまたふるっている。なんと、ホットドッグならぬ「アジフライドッグ」でお目見え。隠し味のアイオリソースに加え「野菜たっぷりのトキハのとんかつソースを使っています。火を入れていないので、香りも味も普通のソースよりピュアでおいしいですね」と、西山さん。遊び心満載の一品に意表を突かれたところで、お口直しのしじみ汁で舌をリセット。このあたりで折り返し地点。