クルスク州でロシア軍5万が総攻撃の構え ウクライナ軍精鋭2万が迎え撃つ
深部打撃を加えてもロシア側の数的優位は動かない
第41、第47両独立機械化旅団、第82、第95両独立空挺強襲旅団、第17独立重機械化旅団の各部隊などから構成される総勢2万人規模のウクライナ軍部隊は、ロシア軍の新たな攻撃に備えている。戦車旅団から改編された第17重機械化旅団は、ゼリョーヌイ・シュリャフからスジャに延びる道路の北側で前線を維持している。 第17重機械化旅団の最近の交戦は、激化している戦闘の荒々しさを浮き彫りにした。装甲による保護なしに前線を移動するのはきわめて危険だ。そこで第17重機械化旅団は、保有するT-64BV戦車60両の一部を即席の補給車両に転用した。 同旅団のT-64は16日かそれより前、塹壕に入っている歩兵部隊に糧食などを届け、そのあとにすぐ主砲の125mm滑腔砲で付近のロシア軍部隊を砲撃するといった混沌とした任務を行った。森林内の基地に引き返す間にロシア軍のドローンで攻撃されて損傷したものの、停止は免れた。第17重機械化旅団は「戦闘任務は遂行された」と報告している。 ロシア軍の反撃が激化するにつれて、クルスク州のウクライナ軍部隊の危険は増していくことになる。数に劣るウクライナ側に楽観できる理由があるとすれば、クルスク州やその周辺のロシア側の拠点などが、ウクライナ空軍の爆撃機やウクライナ陸軍のロケット砲による容赦のない精密な深部打撃にさらされていることだろう。 ウクライナ陸軍は19日、クルスク州に隣接するロシア西部ブリャンスク州にある広大な弾薬庫を米国製ATACMS短距離弾道ミサイル8発で攻撃した。20日にはウクライナ空軍機が英国製ストームシャドー巡航ミサイル10発でクルスク州内のロシア軍指揮所を攻撃した。こうした深部打撃によって、ウクライナ側はクルスク州のロシア軍部隊への補給を妨害したり、ロシア軍の指揮統制を混乱させたりできるかもしれない。 だが、たとえ十分な補給を得られず、統率がとれていなくても、クルスク州のロシア軍部隊がウクライナ軍部隊よりもはるかに規模が大きいことに変わりはない。そして、来る機械化部隊同士の衝突では数量がものを言うことになるだろう。
David Axe