ウクライナで軍務につく女性が急増中も悩みは「女性用の軍服がないこと」、サポートするNGOの現場を取材
■ ヴェテランカの課題 現場での女性軍人の増加に比例して、ヴェテランカの活動のニーズは高まっている。戦時下という混乱の中、女性軍人に対する制度の整備は始まったばかりだ。逼迫した状況の中で、常に新たな問題や課題が生まれ、対応に追われている。 戦争が長期化する中で、軍服といった物理的な装備だけでなく、精神的なサポートの必要性も増している。ヴェテランカではこうしたニーズにも応えようと模索している。 「予算は昨年度の実績に基づいて決まる。しかし、女性の軍人やその役割は日々増している。昨年度とは全く状況が違う。制度も予算も現状を反映していない。予算も人手も足りない」とスタッフは暗い顔で語った。 国からの予算だけではとても間に合わないので、団体では支給品以外の品物を製作したり、イベントを行ってグッズの販売をしたりして、収益化することに取り組んでいる。もちろん寄付も募っている。 ヴェテランカで働く人々は2022年の全面侵攻当初より減っているという。その要因の一つが多くの女性が国外に避難してしまったことだ。そして、それを補うように、「ヴェテランカ」を表す退役女性軍人ではなく、学生の参加が最近増えているという。 この戦争の先行きは見えない。それでも、団体のスタッフや女性軍人たちは、それぞれの立場から「今、自分にできること」に黙々と取り組み続けている。
谷川 ひとみ