J1が狙う? J2で輝く若き逸材10人。恐怖と希望の移籍市場、夏の“個人昇格”は実現するか?
MF:保田堅心(やすだ・けんしん) 所属クラブ:大分トリニータ 生年月日:2005年3月5日(19歳) 2024リーグ戦成績:18試合2得点1アシスト 保田堅心は、サガン鳥栖のU-15で成長したあと、高校時代は大分トリニータの下部組織に加わって経験を積んだ。トップ昇格前から2種登録でデビューを果たすと、2023シーズンから正式にトップ昇格し、プロ1年目からJ2で29試合に出場して今季も順調に成長を続けている。 保田は第3節の藤枝MYFC戦で決勝点を挙げ、大分に2024シーズンの初白星をもたらした。その後は先発を外れる時期があったものの、185cmの長身を活かした中盤からの持ち上がりは迫力があり、チーム全体を押し上げることができる。 しかし、その後なかなかチームの結果に結びついていないのは気になるところだ。ヴァンフォーレ甲府戦で決勝点を挙げて今季の得点数を2としているものの、アンカーの位置から前に出られないことが多い。中盤のパートナーである弓場将輝に守備のタスクをある程度任せて、保田はもっと仕掛けたいところだろう。 長身でフィジカルの強いボックス・トゥ・ボックスのMFは、日本人選手に多いタイプの選手ではなく、それだけで注目の存在と言える。加えて闘争心の強さも魅力的で、チームをけん引するポテンシャルがあるはずだ。 ただ、第21節の鹿児島ユナイテッド戦では前半にイエローカードをもらっているにもかかわらず、後半に審判への抗議で退場になるなど、闘争心が間違った方向に向かうことがしばしば。それでも、まだ19歳の若手であり、伸びしろは多く、J1のクラブもその才能をチェックしているはずだ。
FW:神代慶人(くましろ・けいと) 所属クラブ:ロアッソ熊本 生年月日:2007年10月25日(16歳) 2024リーグ戦成績:13試合4得点0アシスト 神代慶人は、ロアッソ熊本の下部組織で育った16歳で、すでにプロ契約を交わしてJ2でプレーしている。 第5節のベガルタ仙台戦でデビューを飾った神代は、第7節のジェフユナイテッド千葉戦で初ゴールを決め、J2の最年少得点記録を16歳5カ月5日に更新した。続く第8節・レノファ山口FC戦では1試合2得点を記録し、さらに第9節のV・ファーレン長崎戦でもゴールネットを揺らして鮮烈なスタートを切っている。 4得点のうち3得点はPKによるものだとしても、16歳ながらにPKを託されているという事実からもチームの信頼を勝ち取っていることは確かで、PKを蹴るという度胸にも大物感が漂っている。本人はクラブ公式サイトで、「PKは自分の得意なコースに思い切り蹴って、そのゴールがチームの勝利に繋がって良かったです。PKを蹴ったのは、自分の意思もありましたが、周りが蹴るように言ってくれて自分が蹴ることになったので、みんなのおかげで生まれたゴールです」と語っていた。 第22節終了時点で、まだ先発での出場は1回だが、出場90分あたりのシュート数は6.6本でリーグトップを記録している。左右どちらの足でも精度の高いシュートを放てる万能タイプのアタッカーで、昨年は15歳でU-17サッカー日本代表にも招集された。日本サッカー界期待の才能に、多くの注目が集まっている。