科学で証明「寝不足だと食欲が増す」は本当だった 専門家が明かす、睡眠と太りやすさの深い関係
「寝ても疲れがとれない」「眠りが浅い」など、睡眠に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。 今はタイパ、コスパが極端に重視される時代ですが、精神科医で、早稲田大学睡眠研究所所長の西多昌規さんは、「人生で眠っている時間は決して無駄な時間ではない」と断言します。 本稿では、しっかり寝ることがどれほど大事なことなのかについて、西多さんの著書『眠っている間に体の中で何が起こっているか』より一部抜粋、3回にわたって紹介します。 【グラフで見る】睡眠不足では、血糖値とインスリンの上昇幅はどちらも小さくなる
■眠っている間、血糖値はどうなる? ホルモンよりも日常生活に身近な血糖値ですが、眠っている間にどのように変化するかは、実はあまりよく知られていません。 人間が眠っているだいたい6~9時間の間は、食事をとることができません。日中にこれだけ食べられない時間が続けば、低血糖になりそうなものですが、長時間の絶食にもかかわらず、夜間睡眠中の血糖値は、日中に比べて20%から30%も増加します。 逆に、寝ないで目は覚めたまま横になった状態で絶食すると、血糖値は12時間で平均10~20mg/dLも低下します19。これはつまり、何らかのメカニズムによって、睡眠というかなりの絶食時間があるにもかかわらず、睡眠中の血糖値は安定していると考えられます。
睡眠中の血糖値が増加するのは、活動しないので血中のグルコース(ブドウ糖)を消費しないせいですが、睡眠中のインスリンの分泌も関わっています。 インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、グルコースの代謝を調節し、血糖値を一定に保つはたらきを持ちます。夜間はインスリン分泌率も増加しますが、血糖値を正常値まで下げる(血糖値を正常値まで下げる能力を耐糖能といいます)ほどではありません。 下の図(図2-7、2-8)でも示されていますが、睡眠不足では、血糖値とインスリンの上昇幅は、どちらも小さくなります(※外部配信先ではグラフを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。