科学で証明「寝不足だと食欲が増す」は本当だった 専門家が明かす、睡眠と太りやすさの深い関係
もしかすると、夜中の血糖値が上がるので、健康に良くないように見えるかもしれません。しかし、そうではありません。 当たり前ですが、血糖値は人体で生じる物質の合成や分解などの化学反応、すなわち代謝に重要なはたらきをしています。 睡眠不足になると、この代謝に悪影響を及ぼし、肥満やメタボ、糖尿病などの生活習慣病になりやすくなります。ですから、夜中の血糖値が上がってもよく寝るほうが健康的といえます。 キーワードは、次に説明する、レプチンとグレリンです。
血糖値の話が出てきたので、もっと身近な食欲や肥満の話もしておきましょう。 結論からいうと、お腹が減って空腹になると睡眠時間は減ります。また睡眠不足になると、食欲は増えます。この現象は、食欲と睡眠のコントローラーである、オレキシンが関わっています。 オレキシンは、脳の視床下部を中心に作用するホルモン(正確には、アミノ酸がつながったペプチド)ですが、強力な覚醒促進作用を持つだけでなく、食欲を増加させます22。
オレキシンは、覚醒しているときに活性化し、睡眠中には活動が止まります。このことからも、睡眠中に食欲がモリモリ出てくるということはありません。 ■キーワードはレプチンとグレリン ここで、レプチンとグレリンという物質に登場してもらいましょう。「睡眠不足だと太る」という記事で、必ず出てくる物質です。 レプチンは、脂肪から分泌される満腹ホルモンで、食欲を抑えます。グレリンは、胃細胞から分泌される食欲増進ホルモンです。レプチンが食欲抑制(=やせる)、グレリンが食欲増進(=太る)と覚えてください。
食欲を増加させるオレキシンは、レプチンによって抑制され、グレリンによって促進されます。このことからも、レプチン不足、グレリン過剰は、食欲が増えて太りやすいことがわかります。 図2-9に示すように、空腹ホルモンであるグレリンは、食事をしたあとは濃度が急激に低下し、お腹が減ってくると徐々に増加していきます。グレリンは夕食の影響で、眠り始めに上昇してピークとなり、夜中になるにつれて徐々に低下していきます。