なぜ人気に翳り?東京のバルセロナ公認サッカー学校は定員割れスタート
リーガエスパニョーラの名門、FCバルセロナ公認のサッカースクール『FCバルセロナスクール葛飾校』の初練習が24日、東京・葛飾区内の東金町運動場多目的広場で行われた。 バルセロナは2005年から、トップチームの戦術と哲学に沿ったトレーニングを子どもたちに伝えるオフィシャルスクール『FCBEscola』を全世界で展開している。葛飾校は日本では福岡校に次ぐ2校目、世界では14校目となる。開校のきっかけは、地域の子どもたちを成長させる場を探していた、葛飾区を拠点とする一般財団法人キッズチャレンジ未来が『FCBEscola』の世界戦略を知り、運営法人として招致に手を挙げた数年前にさかのぼる。キッズチャレンジ未来の秋元雅義理事長が経緯を振り返る。 「葛飾区といえば、人気漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一先生の生まれ育った場所であり、主人公の大空翼はバルセロナでプレーしている。葛飾区も『キャプテン翼』を用いた地域振興を積極的に行っているので、オール葛飾で招致しようと」 公認を得るためのハードルは高い。まずはバルセロナのカンテラ(下部組織)に倣い、天然芝もしくは人工芝で、フルサイズのピッチが確保できて、ナイター照明も完備した練習場が求められる。その上で、スクール生確保のためのマーケット調査もクリアする必要がある。 練習場は葛飾区が指定管理者を務める、天然芝の東金町運動場多目的広場を確保できた。ここを舞台にして2013年春から『FCBEscola』のキャンプを4度実施し、約700人が参加したことでOKが出た。 3月13日には設立会見が行われ、5歳から12歳までの男女を対象に最大で500人を募集すると発表された。もっとも、予想よりも反応が鈍く、葛飾区内の小学校にチラシを配布するなどして広報活動に努めた。 開校時点のスクール生は200人弱。「バルセロナのブランド力を考えれば少ないのでは」という問いを、秋元理事長は「滑り出しとしては順調」とやんわりと否定した。 「5年前ならばもの珍しさもあって大勢の子どもたちが集まったと思いますが、いまでは状況が変わり、いろいろなクラブが日本国内でスクールを展開しています。だからこそ、これからはブランドだけでなく質も問われてくると考えています」 バルセロナの宿敵レアル・マドリーをはじめ、インテルやACミラン、チェルシー、バイエルン・ミュンヘンなどがすでにスクールを開校。日本のサッカー市場を開拓している。 そうした状況で差別化を図るために――。『FCBEscola』はバルセロナの伝統である、ボールポゼッションを大切にする攻撃的かつ頭脳的なサッカーのメソッドを伝え、フェアプレーや団結力などの人間力も向上させるなど、カンテラと同じプログラムでの指導を謳っている。