なぜ人気に翳り?東京のバルセロナ公認サッカー学校は定員割れスタート
その一方で、『FCBEscola』のよさも確実に伝わっている。小学校3年生の男の子を入校させた、千葉県柏市在住の父親は言う。 「2年前のキャンプに参加したら『練習がすごく面白かった』と喜んでいたので、子どもの希望もあって入校させました。将来は柏レイソルで、と夢も抱いているので、少しでもレベルが高いトレーニングを受けさせてあげたいと思いました」 小学校4年生の男の子を入校させた、葛飾区在住の父親はこう語る。 「地元の少年団だと週末だけの練習になるので、4年生からはスクールにも入れようと考えていました。バルセロナ公認ということで、子どものモチベーションも上がりますよね」 2009年9月に開校した福岡校からも、バルセロナを含めた海外チームに移籍したケースはない。しかし、U‐15日本代表に招集されたFW石井快征(サガン鳥栖U‐15)をはじめとして、Jクラブのジュニアユースに33人を輩出している。秋元理事長は今後の展開をこう語る。 「6年生の子どもたちの受け皿として、葛飾校としてもJクラブとコンタクトを取ることも考えています」 チームとして日本サッカー協会に登録しないため、地元の少年団やクラブとの掛け持ちが可能になる。『FCバルセロナスクール葛飾校』として日本国内の公式戦には出場できないが、毎年春にバルセロナで開催される、全世界の『FCBEscola』オフィシャルスクール生が集う大会に参加して国際経験を積める。 「塾のようなイメージをもっていただければ。ここで身につけたスキルや哲学を所属する少年団などに持ち帰ってもらって、バルセロナのメソッドがどんどん広まっていけばいいですね」 葛飾校の事務局長を務めるキッズチャレンジ未来の角田均専務理事は、グループ分けする際の参考とするために、素早いパス回しなど基礎的なメニューが中心となった初日の練習を見守りながら目を細めた。 開校前の体験スクールには約650人が参加していて、費用などの問題もあり、なかには態度を決めかねている者が少なくないという。シーズン途中でも入校希望者を受け入れていく方針で、角田事務局長は「年内にいまの倍以上になれば」と目標を語る。今後は育成方針がもたらすメリットや絨毯のように美しく整備された芝生のピッチなど、子どもとその親を引きつける葛飾校の情報を、行政サイドと一体になって発信していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)