タイに移住、食堂を営む日本人のリアル。スタッフの“横領”が発覚して人間不信に陥っても「タイが好きだから」
物価高や停滞する給与水準を背景に、海外に活路を求める日本人は少なくはない。海外に移住し、実際そこで働く人たちのリアルとは……? タイのリゾート地・パタヤで食堂を経営し、YouTuberとしても活動するUDさん(38歳)。じつは彼、元ホストという経歴の持ち主でもあるが、タイに移住した理由や現在の仕事のことなど、詳しい話を聞いた。 ⇒【写真】ホストクラブで働いていたUDさん
地元・群馬のホストクラブから上京するも…
UDさんは群馬県出身。高校卒業後、18歳で地元・伊勢崎市のホストクラブで働き始めた。持ち前の明るさで人気を集め、入店後わずか3カ月でナンバーワンに上り詰めた。さらに半年後には店長へと昇進。 「20歳になった頃、もっと広い世界を見たくなり、上京して歌舞伎町のホストクラブへと挑戦しました。しかし、群馬で通用していたスタイルが歌舞伎町では受け入れられず、苦戦しました。また、当時の職場は芸能事務所と提携していて、在籍ホストの半分以上が芸能事務所に所属していました。そこで枕営業を強要されるなど、芸能界の暗部に触れることもあり、失望して地元に戻ることになったのです」 その後、地元の先輩に誘われ、アクセサリーを取り扱うオンラインショップや物販の仕事に就いた。 「物販の仕事は正社員の契約のはずでした。しかし、実際は正社員ではなく、福利厚生も一切ないブラックな環境だと後から知ったんです。手取りは良かったものの、パワハラや理不尽な扱いを受けることもありました」 厳しい日々の中、転機が訪れたのは2018年。出張で訪れたタイ。バンコクからパタヤにも足を延ばし、ソンクラーン(水かけ祭り)を過ごしたことが、タイへの興味を大きく膨らませるきっかけになったという。 「祭りの活気はもちろんですが、タイ人のフレンドリーな性格に惹かれました。1回会っただけなのに、その後も気軽に声をかけてくれるなどの温かさが印象的でしたね」 それからは毎年タイを訪れるようになり、パタヤへの思いが強くなっていったとUDさんは振り返る。