身近な異変も。2024年の気候変動にまつわる印象的なニュース12選
9月:能登半島で豪雨被害。輪島市では観測史上1位の雨量も
9月21日から22日にかけて、石川県能登半島を襲った記録的豪雨。元日に発生した能登半島地震の復旧作業が進むさなかの“二重被災”という、あまりにも厳しい状況をもたらした。 気象庁によると、輪島市や珠洲市の気象観測所では1時間降水量や3時間降水量が観測史上1位の値を更新。河川の氾濫や大規模な土砂災害などを引き起こし、石川県内で15名の尊い命が奪われるという深刻な被害を生んだ。 この能登半島の豪雨も、人為的な気候変動の影響を受けていることが指摘されている。気象庁気象研究所などが行った研究によると、地球温暖化がなかったと仮定した場合と比べ、総雨量(9時間積算雨量)が15%程度も増加していたことが確認された。これは、「地球温暖化に伴う気温および海面水温の上昇によって、雨量が増加した可能性を示唆している」という。 もし地球温暖化がなければ、これほどの被害は避けられたのかもしれない。被災地の復興を祈りつつ、未来の災害を少しでも減らすための行動を選び取っていきたい。
9月:イギリスが石炭火力発電から卒業。G7で初
世界全体で化石燃料からの脱却が急務となっているなか、9月30日、イギリスでは最後の石炭火力発電所となっていたラトクリフ・オン・ソア発電所の運転を停止。G7(先進7カ国)で初めて、最もCO2排出量が多いといわれる石炭による発電に終止符を打った。2025年10月までという当初の目標を、1年前倒しての実現となった。 イギリスといえば産業革命が始まった場所であり、石炭火力発電発祥の地。それだけに、142年ものあいだ燃やし続けた石炭からの「卒業」は、実に象徴的なニュースだ。近年、同国は脱炭素化を進めるため、ここ15年ほどで風力発電などの再生可能エネルギーによる発電量を一気に増やしている。『BBC』によれば、2010年には全体のわずか7%だったのが、2024年前半には50%以上に増加し、最大記録を更新したのだとか。 その一方、日本の現状に目を向けてみると、石炭を含む化石燃料を使った火力発電は、供給量全体の70%を占めると言われている。また資源エネルギー庁によれば、安定供給と経済性の理由から、今後も石炭については「一定程度の活用」が必要だとしている。 とはいえ、電力はいまや自分たちで選ぶことができる時代となっていて、再生可能エネルギーを扱う電力会社も増えてきている。まずは、自分の使う電気がどのように作られているのか、“知ること”からはじめてみては?