「手のひら返し」と批判浴びる石破首相の危うい今後 野党、「代表質問」「党首討論」で“変節”追及へ
石破茂首相が4日午後の衆参両院本会議で行った就任後初の所信表明演説を巡り、野党だけでなく国民からも「手のひら返し」「嘘つき」などの厳しい反発・批判が巻き起こっている。直前の総裁選で力説していた「国民に十分な判断材料をお示ししてから」という衆院解散を、「実質審議抜きで、過去最速での断行」を決断しただけでなく、専門家を自認する安保防衛政策でも、日米地位協定見直しなどの持論を引っ込めるなど「“変節”ばかりが際立った」(立憲民主幹部)からだ。 【写真】石破首相。内閣支持率は「発足時としては過去最低レベル」
加えて岸田文雄前首相が突然の退陣表明の際、「自ら身を処す」とした「巨額裏金事件」への対応でも、石破首相は旧安倍派を中心としたいわゆる“裏金議員”について、「地方県連の判断を重視する」ことを理由に、ほぼ全員公認という“大甘対応”とする方向だった(その後、6日に①一部非公認②大半に比例重複立候補を認めないーーに方針転換)。これも踏まえ、石破首相自身も政権発足後の各党あいさつ回りで、極めて親しい関係だった野党幹部に「本音を出すと国民は喜ぶが党内は怒る」と苦笑交じりで打ち明けるなど、「自説より党内の意見を優先する態度」(側近)を際立たせた。
そうした状況も踏まえた上で、与野党は、10月7日に衆院、翌8日に参院でそれぞれ各党代表質問、続いて臨時国会会期末となる9日には党首討論を実施し、同日夕の衆院本会議で解散という日程で「大筋合意」(自民国対)したとみられている。 これにより、表向きは自民党の思惑通りの「解散日程」となったが、「所信表明演説も含めた一連の石破首相の“不誠実な変身”」(政治ジャーナリスト)もあってか、大手メディアが一斉に実施した世論調査での内閣支持率も「発足時としては過去最低レベル」(アナリスト)に。
さらに、「10・27衆院選」の各種事前情勢調査でも「自民苦戦」との予想が大半を占めているため、党内の“反石破勢力”は、「自民が単独過半数を割れば、早期退陣もあり得る」(閣僚経験者)と早くも“石破おろし”に蠢き始めているのが実態だ。 ■「石破演説」に野次と怒号が飛び交う 1日夜の石破新政権発足を受けて4日午後の衆院本会議で行われた石破首相の所信表明演説に対しては、野党側からは「嘘つき」「約束を守れ」などの野次と怒号が飛び交い、傍聴席では「演説がよく聞き取れない」との声が広がるなど、「新首相の所信表明としては極めて異例の事態」(自民長老)となった。