ホストクラブやトー横ファッションが外国人に大人気…歌舞伎町に押し寄せる「グローバル化」衝撃の実態
4月25日からネットフリックスで全世界への配信がスタートした実写版『シティーハンター』。現代の新宿を舞台にした本作は、国内外から高い評価を得ている。 チェーン店で爆買い、風俗店を横切り…外国人が殺到する新宿歌舞伎町 【フォトルポ】 にわかに注目を集めた歌舞伎町には連日多くの外国人観光客が訪れているのだが、トー横近辺には”地雷系ファッション”に身を包んだ外国人たちが出現しており、なかにはトー横キッズたちと翻訳アプリを使って談笑している人物も。 トー横キッズをテーマに制作された舞台『怪獣は襲ってくれない』の劇場版が下北沢(世田谷区)で3月に公開された際も、観客には外国人が少なくなかった。 海外でも知名度を誇るトー横界隈。その「ファッション」に注目し、SNS上で大きな話題を呼んだのが、「エフェ横界隈」である。 パリのエッフェル塔付近でトー横界隈と同じような地雷服に身を包み、撮影をするフランス在住の女性たちだ。ネット上では「エッフェル塔の横だから塔横界隈じゃないか」という声も上がっていたが、彼女たちはトー横文化をファッションとして楽しむだけだという。 日本人からの「フランスでもトー横みたいに未成年が不法行為に手を染めているの?」という問いに対し、「私たちはストゼロではなくスプライトを飲んでいます」という趣旨の動画をアップしていた。 ’09年に執筆されたフランスの論文によると、フランスでは’00年代初期から日本のゴスロリ文化が流入してきており、ジャパンエキスポのパリ・原宿コレクションでもゴスロリ系のブランドが参加していたと記されている。昔から日本の若者文化が認知されていたフランスで「Jirai」として地雷系ファッションが受け入れられたのはある意味自然な流れなのかもしれない。 ホストクラブも同様に、日本独自の文化として海外に受け入れられつつある。加えて近年のメディア露出・ニュース報道の影響もあってか、ホストクラブを訪れる外国人が増えてきているのだ。 筆者も、とある台湾の女優が「ホストに行きたい」と言っていたので彼女のマネージャーと共にホストクラブを案内したのだが、アフターでホストがその女優に食事代を奢(おご)ったことに「私は客なので対等ではない、私が支払わないとおかしい」と主張していたのが印象的であった。 「逆にどっからイメージを持ってきたのか、枕を異様に求めてくるヤバいお客様とかもいましたけどね……」 ホストのマサキ(仮名・27)は苦笑する。 「たぶん、普通に男の子を買えるシステムだと思ってるような外国人の方がいて。断り続けてたら『死ね!』ってグラスの酒を全部ぶっかけてきて。その後席で大泣きされましたね。あれはパンチの強い初回だったなぁ……」 ホストクラブに外国人観光客が押し寄せ、海外出稼ぎや在日中国人向けの風俗店(通称チャイデリ)が増加するなど、良くも悪くも歌舞伎町は多様化している。 「ウチのチャイデリに来たお客さんが、海外でも風俗を利用する人で。そこで日本の子を呼ぶと、海外出稼ぎの理由が貧困とかじゃなくて、整形代かホストに貢ぐためで驚いたって言ってました。日本人女子のイメージって海外でどうなってるんだろうって不安です(笑)」(カホ・仮名・23) 海外ではポップでエキゾチックな部分のみにフォーカスが当たりがちだが、犯罪の温床となることもある歌舞伎町。グローバル化を目指すなら、実情を正しく発信する必要がありそうだ。 『FRIDAY』2024年5月31日号より 取材・文:佐々木チワワ ’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。卒業後はライターとして活動。本連載をまとめた新刊『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』(講談社)が好評発売中!
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