なぜ、あの企業が選ばれ、利益を上げているのか? 企業成長の鍵を握る「戦略物流思考」―― 優良企業は物流で利益を追求する
「販売戦略+物流戦略」で全体最適を目指す
戦略物流8大機能を駆使し、戦略物流思考を実現させていきます。 たとえば、カップラーメンの配送コスト効率を向上させる取り組みがありました。このとき、カップラーメンの形状を店頭での見映えのよい大きさからトラックに多くが積める小さな形に変えることによって、一度に運べる量が増え配送コストを減少させました。営業サイドは反発しましたが、物流コストを下げるべきという経営判断が働きました。こうした判断をするためには、全体最適の視点が必要になります。 米国のウォルマートや日本のセブン-イレブンが物流拠点を作ってから店舗を作るのは、店頭の欠品を極限にまで減らし、機会損失を防ぎ、商品の鮮度を上げることが実現できるからです。 しかし、これを実現するには、販売戦略と物流戦略を同期させることが必要です。同期していないと、物流拠点をどこに作るのか、どの程度在庫を保管するのか、店舗在庫が欠品しないようなタイムリーな配送をどう計画するのか、などがわからず、物流センターを作ることはできません。このように物流サービスのレベルの向上を考え全体最適をしていく発想が戦略物流思考です。 経営資源を活用するチャンスが眠っている物流は、今後ますます企業戦略に欠かせないものになっていくでしょう。「物流は『コスト』であり、最小化することに尽きる」という考えから、「物流は『プロフィット=利益』を生むものだ」という考えにシフトし、皆さんの会社の戦略・戦術をよりよりものにしていただければと思います。 角井 亮一(かくい りょういち)/株式会社イー・ロジット代表 1968年生まれ。上智大学経済学部経済学科を3年で単位取得終了し、渡米。ゴールデンゲート大学MBA取得(マーケティング専攻)。帰国後、船井総合研究所入社。その後、不動産会社を経て、光輝グループ入社。物流コンサルティングおよびアウトソーシングの分野で活動。2000年株式会社イー・ロジット創業。物流全般のコンサルティング・セミナー活動等を行なう。日本物流学会理事。著書に『図解 基本からよくわかる物流のしくみ』(日本実業出版社)、『EC物流の動向と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム)、『すごい物流戦略』(PHP研究所)など多数。 角井 亮一(かくい りょういち)/株式会社イー・ロジット代表 協力:日本実業出版社 日本実業出版社 Book Bang編集部 新潮社
新潮社