今年に入り感染者数2400人超で過去最多ペース、東京都で急増する「梅毒」とは?
「梅毒」の症状は?
病状の進行は第1期~後期(第3期以降)に分かれます。第1期は感染後、1カ月前後で外性器や肛門、口などに1cm前後のしこりができます。痛みやかゆみを伴わない場合も多く、数週間で症状が自然に軽快するので、治ったと思って放置されることも多いです。第2期は治療せずに1~3カ月以上経過すると、眼、口腔・咽頭、陰部、消化管、肛門など全身に赤い発疹(バラ疹)やぶつぶつができます。この時期は体内で「梅毒トレポネーマ」が一番増殖するので特に感染力が強くなります。この症状も、治療しなくても数週間~数カ月ほどで消えることが多いです。 さらに1年以上が経過すると、全身にゴム腫と呼ばれるゴムのような腫瘍ができて、それが心臓や血管、脳などに広がり心不全や心臓発作、全身麻痺、認知症症状など重篤な症状を引き起こします。後期になるほど治療が難しくなり、治療したとしてもすでに臓器に生じた損傷が元に戻るわけではありません。後期に移行する前に適切な治療を開始することが重要です。
「梅毒」の検査と診断方法は?
いくつかの検査方法がありますが、都内の保健所や都の検査室では匿名・無料でHIVと梅毒の抗体検査を受けることができますし、ほとんどの医療機関でも抗体検査に対応しています。感染機会から4~6週間以上経過していれば検査可能で、症状がある場合は保険診療が適用されます。人間ドックや妊娠初期の検診、ブライダルチェックなどで判明することもあります。見逃しを防ぐため、さらに1カ月後にも検査をおすすめします。
「梅毒」の治療方法は?
「梅毒」は早期に治療を開始すれば完治できる病気で、治療にはペニシリン系の抗生物質が有効です。内服薬の場合、第1期では2~4週間、第2期では4~8週間、第3期以降では8~12週間程度、1日3回の服用が基本です。風邪などの治療にも使われる一般的な抗菌薬なので、処方せんを持って薬局に行っても恥ずかしくありません。ペニシリンが使えない場合は別の抗生物質や、医療機関によっては1回の通院で治療できる注射薬もあります。治療期間は病期によって個人差があり、定期的な抗体検査の結果を見て医師が判断します。 また、パートナーなど周囲の感染の可能性がある方も検査を受け、必要に応じて治療を受けてもらうことが大切です。抗菌薬で治療しない限り体内に「梅毒トレポネーマ」が残っており、治療が不十分な場合は再発したり、完治しても再び感染することがあります。症状がなくなっても自己判断で治療を中断しないようにしましょう。