三菱一号館美術館が11月に再開館。リニューアルオープン後初の展覧会は「再開館記念『不在』ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」
長期休館していた三菱一号館美術館が、2024年11月23日に再開館決定。リニューアル・オープン最初の展覧会はトゥールーズ=ロートレックと、ソフィ・カルの展覧会が開催される。
設備メンテナンスのために、2023年4月から長期休館していた三菱一号館美術館の再開館が決定した。リニューアル・オープン最初の展覧会として「再開館記念『不在』ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」が開催される。会期は11月23日~1月26日。 三菱一号館美術館は、2020年の開館10周年記念展として企画された「1894 Visions ルドン、ロートレック」に際し、現代フランスを代表するアーティストのひとりであるソフィ・カル(1953~)を招聘予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、ソフィ・カルは来日を見送り、プロジェクトは再開館後に持ち越されることになった。 本展では、三菱一号館美術館当館のコレクションや展覧会活動の核をなすアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864~1901)の作品を改めて展示し、ソフィ・カルを招聘し協働することで、美術館活動に新たな視点を取り込み、今後の発展につなげることを目指すもの。ソフィ・カルは、本展の主題に、長年にわたり考察をめぐらせてきた「不在」を提案した。
ロートレック
1891年に初めててがけたポスター《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》で成功を収め、ポスター制作で習得したリトグラフの技法を用いた多彩な版画作品や油彩画を数多く残したロートレック。しかし、ポスター画家としての評価が先行し、フランスの国公立美術館は没後も彼の油彩作品を受け入れなかった。ロートレックの「不在」であったこの時期に、友人で画商でもあったモーリス・ジョワイヤンは遺族と協力しながら、ロートレック美術館の開館に尽力した。 三菱一号館美術館は、モーリス・ジョワイヤン・コレクションのうち、ポスター32点や、《ロイ・フラー嬢》(1893)をはじめとする主要版画作品、アンリ=ガブリエル・イベルス(1867~1914)と共作した『カフェ・コンセール』(1893)といった代表的版画集を所蔵。本展では、さらにフランス国立図書館から借用した版画作品11点を加えた136点により、「時代の記録者」ロートレックの作品を「不在」と「存在」という視点から見直す。