再販プラットフォームのスレッドアップ、 AI でソーシャルコマース市場に革新をもたらす
記事のポイント ソーシャルコマース進出へ、新責任者フェルメール氏を採用。 ビジュアル検索やAIスタイリストなど4つのAI製品を展開。 黒字を維持しつつ成長戦略を拡大、2025年へ注力。 再販プラットフォームのスレッドアップ(ThredUp)は11月中旬、新規人材採用によりソーシャルコマースに進出しようとしている。Amazon Fashion(アマゾン・ファッション)の高級品再販部門を率いたあと、2023年にソーシャルコマース再販アプリ「テレポート(Teleport)」を構築したダニエル・フェルメール氏が、新たなソーシャルコマース担当責任者としてスレッドアップに参加する。 同社で最高経営責任者(CEO)を務めるジェームズ・ラインハート氏は、スレッドアップのソーシャルコマース事業立ち上げと、消費者動向の予測がフェルメール氏の責務だと語った。フェルメール氏は今後、ソーシャルコマースだけでなく、スレッドアップの生成AI活用にも注力する。 スレッドアップはすでに、ビジュアル検索製品やAIスタイリスト、AIが生成した画像を用いた検索、「コンプリート・ザ・アウトフィット(complete the outfit)」プログラムなど、4つのAI製品を市場展開している。 「当社は、販売ルートがTikTokショップ(TikTok Shop)、インスタグラム、ライブショッピング、インフルエンサープログラムのどれであれ、ソーシャルコマースを幅広く追い続けている」とラインハート氏は話す。「フェルメール氏は、消費者が時間を費やしている場所に目を向け、それに合うように当社が進化するのを手助けすることになる」。
リユース市場を革新
ソーシャルコマースに対するスレッドアップの取り組みには、自社製品をコンテンツと見なすことも含まれる、とラインハート氏は語る。同氏は、スレッドアップにリストアップされている450万の製品を、Netflixで視聴可能な多くの映画と番組や、ソーシャルプラットフォーム上にあるユーザー生成の大量の投稿になぞらえた。 Netflixやインスタグラムは、自社プラットフォーム上のコンテンツを魅力的な形で活用してきたが、スレッドアップのようなショッピングアプリも同様のことを行える、とラインハート氏は述べた。 「人々は従来のやり方でスレッドアップでショッピングしている。だが、ニューヨークのスタイリストがマンハッタンで見つけた最高の掘り出し物のリストをまとめ、当社のAIツールを利用して、もっと多くの製品でそれらを補完し、キュレートされたバーチャル店舗としてそれを編集する世界を想像してほしい。当社が目を向けているのは、そういう世界だ」。 スレッドアップは、フェルメール氏が創設したスタートアップ「テレポート」を買収しようとしているわけではない。テレポートは、2024年末までに事業を縮小し、移行を促すために、すべてのテレポートユーザーがスレッドアップで利用できる割引を受ける。テレポートは、ラインハート氏の目標に似通った指針に従って構築されており、TikTok風の縦スクロール表示のフィードを通じて中古品を売買できる。 ラインハート氏によると、スレッドアップはこの1年半、利益を伸ばすことに注力してきたという。同社は、多くの企業が正味プラスの業績に達するべく苦労している時に5四半期連続の黒字を計上している。前四半期の売上高は、前年同期比11%減の7300万ドル(約112億8550万円)だった。また、スレッドアップは通年の売上高の予想を3億ドル(約464億円)から3億200万ドル(約467億円)に引き上げた。 8月にリリースしたAIツールはスレッドアップにとって恵みだ、とラインハート氏は語る。同氏は「1日の利用件数は数万件」と述べただけで、AIツールの利用状況に関しての正確な数字を明らかにするのを避けたが、スレッドアップは、AIを通じた製品検索の60%超がさらなる製品探しにつながってきたと発表している。 「最近は成長ペースが目標を少し下回っているので、2025年には成長に注力する」とラインハート氏は語った。 [原文:ThredUp goes all in on social commerce and AI] Danny Parisi(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:坂本凪沙)
編集部