「暑」「酷」「米」〝農業版〟今年の漢字 生産費、米価高騰を反映
苦境こそ耐え忍ぶ
「猛暑での農作業、特にあぜの草刈り」に苦労したという兵庫県の60代男性水稲農家の1字は「苦」。今年は高齢のため田植えができなくなった知人の1ヘクタールを急きょ引き受け、面積が広がった。「家族3人で頑張った」と振り返る。 夏は気温が下がらず「草刈りが追い付かなかった」という。まずはコンバインの出入り場所の草刈りを優先。手付かずだった分は秋に回し、12月も草刈りを続けた。「秋耕をしたいが手が回らない状態」と年末も高温の影響が尾を引いた。 群馬県の60代男性野菜農家にとっての1字は「耐」。栽培するズッキーニに高温障害が出る中、「自然災害に耐えて管理することが大事」との思いを込めた。 高温や豪雨に見舞われ「ズッキーニの実が良くできず、植え付けた苗も枯れてしまった」と話す。不作に苦しむも「販売価格は良かったのでカバーできた」と胸をなでおろす。 熊本県の50代男性花き農家は「看」を挙げた。夏と秋に体調を崩すも、家族の協力を得て花き栽培を維持した経緯を振り返り、「今年の看病に報いるため一層仕事に励む」と話す。 体調が回復するまでは「なかなかの日数がかかった」という。「誰も愚痴をこぼさず、この機会によく休んで、といたわってくれた」として、「愛に勝る薬なし」と改めて家族に感謝する。
日本農業新聞