日銀・黒田総裁会見12月19日(全文2完)消費増税の影響は前回より小さい
今のイールドカーブの基準をどう見ているのか
ブルームバーグ:あともう1点なんですけども、総裁、少し前になるんですが、イールドカーブのフラット化について懸念を表明されていたと思います。それから日々の動きについてどういうことではなくて、少し時間がたって、超長期金利も上がってきて、今のイールドカーブの基準についてどういうふうにご覧になっているのか。一部では超長期がフラット化していることについてちょっと懸念もあるようなんですが、その点についてもお願いします。 黒田:私も超長期のところはもうちょっとスティープになってもいいんじゃないかと思ってますけれども、あまりわれわれの金融政策の操作目標は先ほど申し上げたように当座預金の政策金利残高についてマイナス0.1%の政策金利を適用し、10年もの国債の操作目標を0%程度にすると。その下で適切なイールドカーブの形成を期待すると。また必要があればそれぞれの国債の買入額について、調整を行ってきているわけですね。 ですから私自身は、超長期債はもうちょっと上がっても別におかしくないと思っているんですけれども、今のイールドカーブが非常に困るということではないと思うんですけども、もうちょっと超長期のところが上がってもおかしくはないというふうに思っております。
大規模な財政支出が財政再建を後退させる懸念はないか
ロイター:ロイターの【キハラ 00:29:32】ですけれども、2点あるんですが、1点目、政府の経済対策は今後の景気物価にそれなりにいい影響があるということだと思うんですが、今もうほぼ完全雇用に近い状態かつ景気の拡大が続いている中で日本のように債務残高が大きい国でこうした大規模な財政支出をすることは、財政再建の流れを後退させるんじゃないかという見方もあると思うんですけれども、その点についてまずは1点目と。 2点目は安倍首相のブレーンである浜田宏一内閣府参与が弊社のインタビューでマイナス金利は銀行の経営体質を低下させて金利が下がり過ぎるとかえって経済マイナスに働くという、そういうリバーサルレートの発生を招く恐れがあるので避けるべきであるという発言をされました。かつて日銀の大胆な緩和を支持していた、かつ安倍首相のアドバイザーである浜田氏からこうした日銀の政策の副作用についての発言が出たことについてご所見をお願いいたします。 黒田:私自身、政府の今回の経済対策っていうのは先ほど申し上げた3つの目的を持って決定されたものであり、適切なものだと思っております。一方で政府は財政再建、財政の持続可能性を高めるためのいわゆるプライマリーバランスの回復と、政府債務のGDP残高をその後次第に引き上げていくというような、財政債券の目標というものも堅持しておられますので、そういった下で必要な経済対策を講じられるということは問題ないと思いますし、先ほど申し上げたように経済にとってもプラスの影響が出るのではないかと。私どももこのイールドカーブコントロールという形で大幅な金融緩和を継続しておりますので、それとの一種の相乗効果でポリシーミックスとしてもより大きな効果があるのではないかというふうに期待をしております。