公務員は安定ではなかった...元自衛官が職場に満足してても「転職活動をやめない」理由
常に転職活動をすることで「退路」を準備しておこう
「公務員になるか、大企業に入社できれば人生安泰」と言われることがあります。しかし、一度メンタルダウンした経験から、公務員になることや大企業への入社は「本当の安定」ではないと気づきました。 「本当の安定」とは、いつでも転職できる準備が整っていることです。危機的状況に陥っても「退路」があれば、気持ちに余裕が出てきて心が安定しますし、次の行き先が確保できていれば経済的にも安心です。だから私は、いざというときのために、普段から転職活動をしているのです。 ちなみに私は今の職場に満足しており、辞めたい気持ちはまったくありません。それでも転職活動を続けるのは、今の職場が永遠に平和とは言い切れないからです。 ヤバい人が1人入ってくるだけで、それまでの人間関係は一気に崩壊します。私は、もうかつてのような思いは二度としたくないと思っています。だからこそ、常に転職活動して退路を準備しておくのが私にとっての日常なのです。 「よそに行く気がないのに転職活動するなんて」と思われるかもしれません。しかし、転職活動をせずに安閑としているのはリスク以外の何物でもありません。 普段から環境を変えることに対するハードルを下げておかないと必要なタイミングで行動できませんし、メンタルダウンしてしまうと転職活動は不可能です。実際私も、最初の転職活動を始めるまでには長い休養期間が必要でした。普段からの転職活動は「避難訓練」のようなもの、と考えましょう。 定期的にスキルの棚卸しをして職務経歴書を更新し、半年に1回ほどのペースで面接を受けてみる。そうすることで、いざ転職をしようと考えたときの準備ができるのです。 また、自分の知識や経験が一歩外に出ればレアであり、自分のような人を求めている企業が意外に多いことにも気づくと思います。皆様も、まずは転職サイトに登録して自分の市場価値を確かめてみることから、始められてはいかがでしょうか。 私は自衛隊では同期の中で成績トップ、仕事はすべて無難にこなしてきましたが、転属すると一転、上司から「お前、使えねぇな」と罵倒されることになりました。しかし今は、「防災・危機管理のプロ」として好待遇で働いています。どんな人にだって、合う場所は必ずあります。転職活動を続けて、本当の安定をぜひ手に入れてほしいと思います。 【わび】 危機管理屋、元自衛官。大学卒業後、陸上自衛隊幹部候補生学校に入隊。師団司令部や方面総監部に勤務するが、激務とパワハラによりメンタルダウンを経験し、市役所に転職。現在は「危機管理屋」として企業に勤務。最新刊『人生から逃げない戦い方 メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』(扶桑社)が11月14日に発売予定。
わび(危機管理屋)